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圧勝した東洋大が実はピンチ!?
日本一早い、2015年箱根駅伝予想。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2014/01/06 16:30
今年は5区で区間賞となった設楽啓太(東洋大4年)。昨年は3区で、一昨年は7区でも区間賞をとるなど東洋大の栄光を牽引した選手だった。
東洋大学の圧勝で幕を閉じた第90回箱根駅伝。
2位の駒大も10時間57分台と驚異的な記録なのに、影すら踏ませない圧勝劇。「強い」としかいいようがなかった。
レース終了直後、神奈川大の大後栄治監督の言葉が忘れられない。
「東洋大、本当に強いです。彼らの強さを目の当たりにすると、箱根で優勝するのは大変なことだと実感しますよ。もう、状況が違います。われわれとしては、まずはシード権を確保できる力をつけてからでないと、優勝はなかなか狙えない時代になりました」
今大会で見えてきたのは、学校ごとの力の色分けだ。私が感じたのは次の3つのカテゴリーだ。
「優勝ゾーン」
「シード権獲得ゾーン」
「予選会突破ゾーン」
日本一早い、来年の箱根駅伝「予報」。
優勝ゾーンにいるのは、東洋大、駒大の2校。今回のレースでは差をつけられたが、展開次第で優勝を狙えるのが日体大、早大、青山学院大、ギリギリで明大まで。
そしてシード権獲得ゾーンは、10位の大東大を起点としてプラスマイナスでおよそ3分以内の学校。今回だと、7位の日大から12位の中央学院大までがこのゾーンに入る。
残念ながら13位の東海大より下の学校は、本戦では見せ場を作れないままにレースが終わってしまった。
今後高校のエリート選手は、優勝ゾーン校に進む確率が高まり、一層カテゴリーの分類、またカテゴリー内でのさらなる階層化が進むかもしれない。
今年のトレンドをもとに、さらには今年4月に入学してくる新入生の進学先を加味しながら、来年の箱根駅伝の予想というよりも、「予報」をしてみたいと思う。
まず、参考になるのが卒業生の数。箱根駅伝は経験が重要なレースだから、4年生が抜けるのは大きな痛手。逆に、どれだけその穴を埋められるかがポイントになる。優勝ゾーン校の卒業生の数を見ていくと……。