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CLで価値あるドローは内田のおかげ?
流れを変えた“ボランチ的”センス。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2014/10/01 16:30

CLで価値あるドローは内田のおかげ?流れを変えた“ボランチ的”センス。<Number Web> photograph by AFLO

右脚には分厚いテーピングが巻かれていたが、チームに貴重な勝ち点をもたらした内田篤人。「出ないと意味がない」という舞台で、結果にこだわる内田らしさが存分に発揮されていた。

後半開始から投入された内田が意識したテンポ。

「0-1で負けていて、サイドバックのオレがなぜ試合に入るのかと考えたときに、組み立ての役目をするんだろうと思いました。点を獲りたいだけなら前の選手を入れるでしょうし。オレが入るのはたぶん、組み立てとボールを落ち着かせるということなのかなと」

 内田が意識したのは、パスを回すテンポを上げつつ、攻撃の中心であるフンテラールを活かすということだった。

「前半に出ていたわけではないので何とも言えないのですが」と前置きしつつ、シャルケの攻撃が相手の脅威になっていなかったのはテンポにあったと考えていた。

「もっと、ポンポンはたけばいいのにと思っていた。余裕がある分、持ちすぎてしまうので。そうすると、相手にも(パスカットを)狙われてしまうから」

 そして、テンポを上げていくために考えていたのが、チームの攻撃の中心であるフンテラールへパスを出すことだった。近くにいる右MFやトップ下の選手へパスを出していくと、相手守備陣の動く距離も短く対応しやすい。さらに遠いところにいるフンテラールにボールを預けることで、相手の守備はずれ、攻撃はスピードアップしていく。

「シャルケの攻撃の中心は彼だから。彼がボールを収められれば、散らしてくれる。だから、多少きつくても、フンテラールの足元に当てたいという思いはありました」

まるでボランチのようなボールさばきと展開力。

 試合に入ってからの内田は、ボールを呼び込むと、素早くそれをさばいていった。もちろん、縦方向のパスだけではなく、逆サイドへ展開するシーンもあった。まるでボランチの選手のようにボールを散らしていった。

 実際、立て続けにフンテラールへパスを通したことで、シャルケの攻撃はスピード感を増していく。しかも、試合に出場してから最初の20分で11本のパスを出し、そのうち10本を通していた。

 その姿勢が後半11分に実る。内田からの横パスを受けたチョウポ・モティンクがしかけ、こぼれたボールを相手がクリアミス。これを拾ったフンテラールが左隅に決めて、同点ゴールが生まれた。

【次ページ】 的確なオーバーラップを仕掛けつつ周囲を鼓舞した。

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