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ゲバラの言葉でサンプドリアが躍進!?
ミハイロビッチが発揮する「名言力」。
posted2014/10/01 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「Carpe Diem!」
アカデミー賞映画『いまを生きる』の劇中、故ロビン・ウィリアムスが演じた熱血教師は、ラテン語詩の一句を用いて、教え子たちへ“日々のチャンスを生かせ”と誠実に訴えかけた。
その名優の台詞を拝借したのが、サンプドリアの監督シニシャ・ミハイロビッチだ。
5節を終えたセリエAで3勝2分け、勝ち点11を挙げるロケットスタートを切った。
快進撃の立役者はもちろん選手たちだが、現在のサンプで衆目を集めずにいられないのが、泣く子も黙る鬼監督と破天荒な新会長フェレーロの異色派コンビだ。
昨季途中から古巣サンプに復帰したミハイロビッチは、新シーズンを迎えるにあたり、今夏急逝した名優の言葉を借りて、選手たちの尻を叩いた。古代ローマのラテン語詩ではあるが、有名な言い回しなので選手たちは指揮官の意図をすんなり理解した。
ケネディの有名な就任演説を拝借。
パレルモとの開幕戦では、後半ロスタイムの同点弾でパレルモから勝ち点1をもぎ取った。伸び悩んでいた元イタリアU-21代表のFWオカカが今季初ゴールを挙げ、2節トリノ戦は2-0の完勝。ここまで3試合を完封し、打たれ弱かった守備陣にも集中力が戻ってきた。
「すべての発端はシニシャだよ」
開幕戦に続いて、4節キエーボ戦でもゴールを挙げた主将ガスタルデッロは、好調をもたらすミハイロビッチの“引用力”に畏敬の念を隠さない。
名フレーズや故事に倣う指揮官の新手法は、昨秋の就任会見から始まった。
セルビア代表監督を辞して、現役時代の古巣の危機へ馳せ参じたミハイロビッチは、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの就任演説をもじり「選手たちよ。サンプが何をしてくれるかではなく、自分がサンプのために何ができるのかを考えろ」と熱弁を振るった。