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武藤と柴崎のゴールを“お膳立て”。
新しい武器「速攻」の中心は岡崎。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/09/10 12:10

武藤と柴崎のゴールを“お膳立て”。新しい武器「速攻」の中心は岡崎。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

武藤嘉紀、柴崎岳の初ゴールはともに岡崎慎司のお膳立て。監督が代わっても、彼の前線での存在感が減じることはない。

「日本には速攻という武器がなかった」

 岡崎自身、カウンターについてこのような感想を述べている。

「日本に武器のないところの一つが、速攻だと思うんです。今までの親善試合では高い位置を取ることが多くて、あんまり(速攻が)なかった。でも今は意識的に、自分たちで引くことも多いので、どうしても点が欲しいときに速攻のチャンスがあると思う。そこのクオリティーを上げるチャンスが今なのかな、と。

 本当に勝ちたいときに、急にそれをやってもうまくいかない。でもこうやって、今の監督は真剣勝負にかなりこだわるところがあるので、プレッシャーをガンガン与えられて、勝たないといけない状況のなかで速攻を成功させるというか。その意味で、きょうは全部、速攻で点を取る形だった」

 日本が不得意としているものに、意欲的にチャレンジする。岡崎の言葉に代表されるように、選手からはポジティブな反応が聞こえてくる。

自主性を求める監督、能動的に動く選手。

 札幌でのウルグアイ戦と2試合見てきて、全体的な印象としては後ろに重心が置かれる特徴があり、人数を掛けたパスワークで崩すというよりも、なるべく手を掛けずに攻め切るのが主。

 パススピード、パスの精度でより高いレベルが求められ、公開練習ではサイドからのクロスという攻撃パターンが刷り込まれていた。これが日本に合っているかどうかは不透明だが、選手が能動的に取り組んでいることに今は目を向けることにしたい。

 アギーレは選手たちに、自主性を求めている。プレーに制限はなく、会見ではこのようにコメントしている。

「私が指導したこと以外でも、自由にプレーしてほしいと試合前に、選手には伝えている。ピッチ上では選手が判断を下さなければならない。私は選手にアイデアを与えるが、それを発展、展開させるのはあくまで選手たちの判断だ。選手たちを見て、満足できることもあった。いい素材がそろっているので、あとはそれをチームとしてまとめていく時間が必要だと思う」

 後半、攻守の距離感が良くなってアグレッシブな場面が増えていったのは、岡崎をはじめ自分たちで変わろうとしたからと受け止めることもできる。そして彼が語ったように、「ランダムに動く」というのが、これからの一つのカギになってくるのかもしれない。

【次ページ】 アギーレの取り組みは一種の「破壊」なのか。

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