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武藤と柴崎のゴールを“お膳立て”。
新しい武器「速攻」の中心は岡崎。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/09/10 12:10

武藤と柴崎のゴールを“お膳立て”。新しい武器「速攻」の中心は岡崎。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

武藤嘉紀、柴崎岳の初ゴールはともに岡崎慎司のお膳立て。監督が代わっても、彼の前線での存在感が減じることはない。

自ら激しく動くことで、チームを動かす。

 前半から積極的に飛ばしてきたベネズエラが後半、落ちてくるのは大体予想できたことではある。とはいえ、岡崎が前線から守備のスイッチになることで、チーム全体が動くようになった。いや、より激しく動くことで、意識してチームを動かそうという意図にも見えた。

「(パスの)出し手が探しているときには、自分が受ける(という意識)。マインツでやっているような形を出せればいいというような感じでした。なかなかパスを回せないときに前でキープできないなかでも積極的にアタックしていく。あと、自分が入って守備のところがはまりだしたのかなとは思います」

 中盤と前線の距離感がグッとよくなり、チームが活性化したことが、後半の2点を引き出す要因にもなった。インサイドハーフが高い位置に出てこれるようになり、左右FWに中のスペースを使わせることで、両サイドバックが上がるシーンも増えた。

2ゴールの陰には、岡崎と本田の“お膳立て”が。

 後半6分。前線の岡崎が味方からのロングボールに競り負けたものの、クリアされたボールを武藤嘉紀がかっさらって、そのままシュートを叩きこんでいる。

「パスの選択肢があるなかでシュートを打てば、GKも迷うと思ったので」とサラリと言ってのける武藤の冷静さと大胆さには舌を巻くが、右サイドを後ろから全速力で駆け上がってきた本田と、岡崎がしっかりとパスコースをつくって“おとり”の役割を果たしていることにも目を向けたい。

 また、柴崎岳がジャンピングボレーで奪った後半22分の2点目は、カウンターから左サイドにポジションを取った岡崎がクロスでアシストしている。これも柴崎の正確なキックに驚いたが、本田がちゃんと中に飛び込んできてもいる。

 柴崎自身、「味方が引き付けてくれて、クロスもいいところにあげてくれたので、あとは流し込むだけだった」と謙遜気味に語っているが、チームのカウンターに迫力があったのは間違いない。

【次ページ】 「日本には速攻という武器がなかった」

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