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W杯メンバーの大量招集と、無名選手。
新たな23人に見るアギーレの“好み”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAFLO
posted2014/08/29 16:30
代表入りを噂すらされていなかった選手を含め、独創的な23人を招集したハビエル・アギーレ新監督。最初の大舞台は1月のアジアカップ、果たしてどの選手が生き残るのだろうか。
ノーマークだった坂井、松原、皆川の3人。
もう1つの驚きは、無名に近い選手を入れてきたことだ。サガン鳥栖のセンターバック坂井達弥、アルビレックス新潟の右サイドバック松原健、サンフレッチェ広島の皆川佑介の3人は、筆者もノーマークだった。
左利きの坂井は今季リーグ戦で4試合の出場にとどまっているものの、対人プレーと空中戦にめっぽう強く、松原は圧倒的な走力がウリだ。皆川は7月の柏戦でJリーグ初ゴールを決めたばかりだが、186cmの長身を誇り、体を張ったプレーが特徴である。
このサプライズ選出には、9月のアジア大会(韓国・仁川)に出場するU-21代表が9月8日からキャンプを行なうことでメンバーを重複させられないという事情もあっただろう。
それに国内組11人の内訳を見てみると、最大で1クラブ2人(広島、鳥栖、FC東京)の選出になっている。同時期に行なわれるナビスコカップ準々決勝に出場するチームは広島2人、浦和1人、C大阪1人、神戸1人とするなど、Jリーグのクラブに対する配慮もうかがえる。
浮かび上がるアギーレの“好み”は?
とはいえ、チョイスした選手を見ていけば、アギーレの“好み”も多少なりとも浮かび上がってくる。
代表初選出となった残りの2人、武藤嘉紀、森岡亮太は今季のJリーグで活躍していて「メンバー入りが期待される若手」としてメディアも取り上げていた注目株ではある。
武藤はスピードがあり、仕掛けの意識が高い。それに決定力もある。スルーパスを得意とするゲームメーカーの森岡は、今季は運動量の多さでも目立ってきている。
初招集の5人に共通しているのは程度の差はあれど、やはり「走れる」「闘える」という点だろうか。また前線の選手については「守備力」も重視されていると見ていい。
W杯メンバーの大量選出と、自分好みの無名に近い選手の選出。
この2つのサプライズが何を意味するか。
W杯メンバーには「アギーレ色」の取り込みを求めていき、新しい選手には高いレベルの環境でどれだけやっていけるか、その適応力、伸びしろの可能性を見ていく。そういった彼の狙いが見えてくる。