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ネイマールは「主役」でこそ輝く。
“メッシシステム”の鎖は解かれた!
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2014/06/12 16:30
ブラジル代表でのネイマールは、ドリブル、フリーキック、ポジションチェンジなど全権を任されている。アイルトン・セナ以来といわれる国民的スターは、黄金のW杯を母国にもたらすことができるか。
チーム全体がネイマールの存在を頭に置いている。
開幕前日の『ランセ』紙には、過去のFW、ロナウド、リバウド、ロマーリオ、ベベト、カレッカ、セルジーニョと比較し、フレッジでは物足りないとする記事も載っていた。
しかし、このフレッジこそが、ネイマールが輝くために必要な選手である。
シンプルなポストプレーが上手く、余計なことはしない。常に後方のネイマールを考えたプレーをするから、彼はいい形でボールを受けることもできる。泥臭いプレーもできるし、もちろん守備面でも最前線で貢献してくれる。
メッシとフレッジ。単純に個人能力を比べたら、別次元にあるともいえるふたりだ。しかしサッカーは単純な能力値の足し算ではない。ネイマールはメッシではなく、フレッジと組むことで、その能力を遺憾なく発揮できるわけだ。
フレッジだけではない。右サイドのフッキも、中央のオスカルも、誰もがネイマールの存在を念頭に置きプレーしている。ちょうどバルサ全体がメッシを活かそうとしているように。
与えられた自由が生む豊富な選択肢。
ブラジル代表ではポジショニングと“遊び”の自由も与えられる。
ネイマールはブラジル代表では左サイドかトップ下に入るが、局面に応じて好きに動くことができる。
サイドから中へと切れ込んでいくドリブル。フレッジやオスカルと絡んだワンツー。ボールをまたいでも、テクニックを見せても、バルセロナのように「プレーが遅くなる」とも、「時間をかけ過ぎ」と批判されることもない。ブラジルでは誰もが彼の個人技を待ち望んでいるからだ。必然的に、プレーの選択肢は増える。
バルサだとこうはいかない。中央にはほとんど動かないメッシがおり、中へ行くとポジションが重なってしまう。マルティーノ監督はネイマールを右サイドに置いたことさえあった。サイドから窮屈そうにクロスをあげる彼は、持ち味の半分も発揮できていないようだった。