ブラジルW杯通信BACK NUMBER
“ルーニー以来の逸材”に高まる期待。
バークリーはW杯でブレイクするか。
posted2014/06/13 10:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
イングランドは、ブラジル入り直前のテストマッチ3試合を1勝2引分けで終えた。
しかし、単純に無敗を喜ぶわけにはいかない。W杯前の母国最終戦を飾った勝利(3-0)は格下のペルーから奪ったもの。強化合宿先の米国フロリダ州では、終盤に1点のリードを失ったエクアドル戦(2-2)で、アレックス・オクスレイド・チェンバレンも膝の怪我で離脱を余儀なくされ、ホンジュラス戦(0-0)では、後半は10人になった相手からゴールを奪えなかった。
しかしながら、国内に悲壮感はない。もともと、チームが世代交代の過渡期にある今大会への期待が低かったこともあるが、長らく「守高攻低」が嘆かれた代表にあって、ロイ・ホジソン監督がプレーメイカーの人選で嬉しい悩みを抱えることになったからだ。
ロス・バークリーが一転させた代表の勢力図。
イングランドにとってのW杯開幕は6月14日のイタリア戦。基本の4-2-3-1システム採用が予想される先発イレブンのうち、8枠は既に確定したと言える。
守護神はジョー・ハート。最終ラインは、CBのフィル・ジャギエルカとギャリー・ケーヒルの左右にSBのレイトン・ベインズとグレン・ジョンソン。
ダブルボランチは、キャプテンのスティーブン・ジェラードと、今季のリバプールでもコンビが機能したジョーダン・ヘンダーソン。同じリバプールで、今季リーグ得点ランク2位の21ゴールを上げたダニエル・スタリッジが1トップ。ここまでが、テストマッチ3試合中2試合でスタメンに名を連ねた8名だ。
注目は2列目の3枠。ここには、3試合の全てに先発したウェイン・ルーニーがいる。W杯メンバーが発表された時点では、ルーニーのトップ下起用を前提に、チェンバレン、ダニー・ウェルベック、アダム・ララーナ、ラヒーム・スターリングの若手4名がアウトサイドの2枠を争うものと思われていた。ところが、ロス・バークリーの「1.5試合」出場で状況が一変した。