プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・アンダーソン「不細工」の魅力。
“リズム感のないラテン系”に迫る。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/05/02 10:50
4月30日終了時点で、打率.378の首位打者に。ラテン系らしからぬ「不細工さ」は、もはやアンダーソンの魅力のひとつだ。
キャンプで原監督が見抜いたアンダーソンの可能性。
そう感じた一番の理由は、まったくラテンを感じさせないリズム感の無さにあるのかもしれない。走る姿はかっこわるい。守ればボールの投げ方もアーム式のマシンの様で、そこから放たれるボールには「パラシュートがついている」と揶揄されるほどの弱肩でもあった。
中南米系の選手らしくない動きの悪さ。しかも打席に入ってもキャンプでは打撃投手の投げる球にも詰まってばかりで、再び頭の中は「?」という状態になってしまったのを覚えている。
ただ、である。
キャンプのときに原辰徳監督が、こんなことを言っていたのはしっかりと覚えていた。
「ちょっと面白いかもしれないよ」
そう語る監督はアンダーソンの可能性を、始動の仕方に見ていたのである。
「普通の打者は打席に入るとピタッと構えを決めて静から動へと始動する。でもレスリーはちょっと違う。あのオープンスタンスからの、動から動への始動っていうのは、慣れていけば変化球についていけると思うんだ。だからみんなが思っている以上にやるんじゃないかと期待しているんだ」
巨人の歴史の中で第79代の4番に大出世。
そして予言は見事に的中したのである。
3月28日の開幕の阪神戦(東京ドーム)。「7番・左翼」で先発すると、初打席は能見篤史投手の真っすぐにどん詰まりながら左前に落とした安打だった。そしてこの試合で6回には右翼席に飛び込む来日1号をマークすると、30日には3番に抜擢された。4月2日のDeNA戦(横浜スタジアム)では5打数5安打1本塁打と大当たりすると、その後も快進撃は止まらず26日の広島戦(マツダスタジアム)ではついに球団創立80年の歴史上、第79代の4番に起用されるわけである。