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巨人・アンダーソン「不細工」の魅力。
“リズム感のないラテン系”に迫る。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/05/02 10:50

巨人・アンダーソン「不細工」の魅力。“リズム感のないラテン系”に迫る。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

4月30日終了時点で、打率.378の首位打者に。ラテン系らしからぬ「不細工さ」は、もはやアンダーソンの魅力のひとつだ。

内角球を平然と見送る背景にある2要素。

 開幕から1カ月間のアンダーソンの打撃を見て、原監督に改めてなぜこれほど結果を残せているのかを聞いてみた。

「一番の理由は常に、どんな状況でも自分のスイングができていること。その背景にあるのはボールを怖がらないことだと思う」

 アンダーソンの打席で印象に残るのは、内角球の見逃し方だ。オープンスタンスから右足を踏み込んでいくが、内角の厳しいコースも平然と見送ることが多い。

 インハイにも決して怯まず、ボールを打ちにいく形ができている。

 それを支える技術的な背景が「回転力と押し込みの強さだ」と指摘するのは、清水隆行打撃コーチだ。

「彼の一番の特長はボールを呼び込めること。ポイントが非常に近いんです」

 普通なら完全に詰まってしまうようなポイントまでボールを見て呼び込んで、そこから身体の回転と左手の押し込みで打ち返せる技術がある。ボールを長く見られるから、内角の厳しいコースも平然と見送れるし、変化球に対応できる。ポイントが近いと真っすぐには詰まるが、それでも鋭い回転力と左手の押し込みで詰まってもヒットゾーンに弾き返すことができる。

真っすぐは力で押し込み、変化球にはついていく。

 典型的な例が4月29日のヤクルト戦(東京ドーム)の9回に放った右翼フェンス直撃の同点タイムリーだった。この適時打はインコース高めのストレートを右翼にライナーで弾き返したものだった。普通に打ったらファウルゾーンに切れていく難しい球が、切れずに真っすぐ伸びてフェンスを直撃した。

「おそらく本人は会心ではなかったはず。多少、詰まっているから打球が切れない。少し詰まっても、ああいうバッティングができる。それが彼の一番の特長でしょう」

 清水コーチの説明だった。

 メジャーのパワーの中に入ると、この回転力と押し込みでは、まだ見劣りしてしまうのかもしれない。しかし日本では真っすぐに多少詰まっても力で押し込めて、変化球には最後までついていける。

 だから通用するし、そういう意味では日本の野球に最も適した助っ人となるのかもしれない。

【次ページ】 「不細工」な動きが、頼もしく見えてきた。

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