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グアルディオラが苛立ちを露にした夜。
マドリーにあった“ペップ流”への免疫。 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byAP/AFLO

posted2014/04/24 12:35

グアルディオラが苛立ちを露にした夜。マドリーにあった“ペップ流”への免疫。<Number Web> photograph by AP/AFLO

「今日はいい試合だった。次はより改善できると信じている」とセカンドレグへの自信を伺わせるコメントを出したグアルディオラ。

マドリーに残る、全盛期バルサを相手にした経験。

 一方、マドリーは初めての攻撃を得点に繋げている。この試合で初めてロナウドに縦のボールが入り、そのスルーパスを左SBのコエントランがクロス。中でベンゼマが合わせたものだ。手数をかけずにスペースを突く、まさにお手本のようなカウンターだった。その後も、エリア内で得点に繋がっていてもおかしくない決定機は、ロナウド、ディマリアと2度あった。

 カウンターからの効率的な攻めだけでなく、要所要所でのマドリーの粘りも際立っていた。

 何十本ものクロスをサイドから上げられながらも、中央ではセルヒオ・ラモスとペペがマンジュキッチを相手に制空権を掌握した。両サイドバックはイスコ、モドリッチ、シャビ・アロンソと組み、最大の脅威でもあるロッベンとリベリーに対応。特に後半は体力的に限界となり、ふらふらになりながらも最後の局面だけは抑えていた。

 マドリーの大半の選手は、グアルディオラが率いた全盛期のバルサを相手に、この種のパス回しで翻弄された苦い経験を抱えている。

 グアルディオラのバルサと戦い続けたおかげで、「パス回しによる圧倒」に対して、ある程度の免疫ができていたのは皮肉でもある。

 試合後、グアルディオラはスペインの衛星放送局『Canal Plus』にこんなことを話している。

「レアル・マドリーはスピードがあり、カウンターにかけては世界一だ。それに対し、バイエルンはポゼッションで試合をコントロールしようとした。足りなかったのは得点だけだ」

グアルディオラが見せた哲学とプライド。

 質問に答える彼の発言からは、自らが貫くサッカーへの愛とプライドを感じることができる。

――縦への意識がやや足りなかったのでは?

「ひとつ重要なことがある。ボールというのは、縦に急げば急ぐほど、跳ね返ってくるスピードも速くなるんだ。つまり縦に急ぐ攻撃をすれば、カウンターを受けるリスクも高まってしまう。そんな展開では、マドリーは我々より優れている。彼らの強みはカウンターなんだ。ミュンヘンでもマドリーは自陣に引いて、カウンターを仕掛けてくるだろう。前半マドリーは3本もパスを繋げなかった。ボールを持てなかった。信じないかもしれないが、試合を支配したチームを私は誇りに思っている」

――選手には何を伝えた?

「堂々と戦えと。マドリーと戦うのは常に難しい。私は選手の頃からそれを知っているし、監督になってからもだ。マドリーは自分の現役時代から常にカウンターのチームだった。べルナベウに来て萎縮する選手もいるが、バイエルンの選手たちは堂々とやってくれた」

 試合後の公式記者会見も含め、グアルディオラは、『マドリーのサッカーはカウンターであり、バイエルンはポゼッションだ』ということを、言葉を変えながら何度も繰り返している。

【次ページ】 2つのサッカー観の戦いはミュンヘンへ。

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