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ダルビッシュ、3戦で防御率0.82!
ストレートの割合が激増した理由。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2014/04/18 11:05
援護に恵まれず勝ち星はいまだ1つながら3試合で防御率0.82、23奪三振という成績を残している今季のダルビッシュ。ストレート主体への変化はどう出るか。
ダルビッシュ有の好調ぶりが目立つ。
3試合に登板して、まだ1勝しかあげていないが、打線がうまくかみ合えば3連勝していてもおかしくはなかった。
ただ、ダルビッシュは相手チームのエースと対戦することが多いので(4月16日のマリナーズ、フェリックス・ヘルナンデスなど)、なかなか勝ち星が伸びない時期もあるのだ。
サンプル数として3試合はいかにも少ないのだが、ここまでの時点ですでに、ダルビッシュの投球内容に昨季から大きな変化が見られる。
それは配球だ。
以下のストレート(フォーシーム)とスライダー、そしてカーブの割合の変化に注目してほしい。Fangraphsの調べによると、2012年にダルビッシュが移籍して以来、この3つの球種の割合は、次のように変化してきた。
●2012年
ストレート 47.3%
スライダー 14.3%
カーブ 14.4%
●2013年
ストレート 38.2%
スライダー 31.6%
カーブ 8.4%
●2014年
ストレート 61.6%
スライダー 24.7%
カーブ 7.4%
スプリング・トレーニングで、ロン・ワシントン監督は、
「フォーシームの制球力を改善してほしい」
と話していたが、キャンプの段階から、ストレートで投球を組み立てていくのはベンチとダルビッシュのコンセンサスのようだ。
ストライクを先行させ、球数を減らす狙いか。
それにしても、日本からアメリカに渡ってフォーシーム系の球種が増える投手は極めて珍しい。黒田博樹に代表されるように、フォーシームはほとんど投げず、ここ数年で流行したツーシーム系の球を増やすケースが多い。
しかし、ダルビッシュはストレートを増やした。これはおそらく、ストライクを先行させ、投球数の減少を狙っているように推測する。
これまでのところ、3試合で投げたのは22イニング。平均すれば7回+アルファの数字なので、エースの責任を十分に果たしている。