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最年少優勝の平野美宇&伊藤美誠。
日本卓球界が迎える“黄金時代”。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/04/13 10:40
優勝賞金を聞いて驚く顔がかわいいと話題になった平野美宇(左)と伊藤美誠の13歳ペア。平野は「コーチの方たちや友人、家族にプレゼントをしたい」とコメントしている。6年後の東京五輪が今から楽しみだ。
小学生のナショナルチーム結成など強化が結実。
それにしても、なぜ、若い世代にこれだけ有力選手が育ってきたのか。主たる理由は、組織的な育成にある。
以前にも記したことがあるが、かつて世界屈指の卓球王国だった日本は、中国に取って代わられると地位を後退させていった。
挽回を図るため、選手の育成に力を入れ始めた。'80年代後半から、小学生以下、小学4年生以下といった年代別の全国大会を設け、'01年には小学生のナショナルチームを結成。国内外での合宿など強化を開始した。翌'02年からは、有望な小学生数十名とその指導者を対象とした研修も開始した。
石川は以前、小学生たちの活躍とレベルの向上について、こう語っていた。
「私が小学生だった時より、みんな基本がしっかりしています。ミスが少ないし、すごいなと思います」
有望選手の発掘と育成を組織的に積み重ねてきたからこその今日である。
五輪、世界ランクが日常的に意識される風土。
さらに特徴的なのは、卓球の中学生、さらに小学生くらいの年代でも、ただの憧れとしてではないニュアンスで、オリンピックや世界選手権出場を目標として語ることだ。「まずは世界ランキングで何位以内に入れるように」と口にするあたりにも、海外を現実的な舞台として視野におさめているのが感じられる。
国内ばかりでなく、早い年代から海外を、世界の上位を目指そうと思っていることも、活躍する選手が続出する理由として小さくはない。志の高さが成長を促す部分があるからだ。そして、そうした風土が出来ていることが、今の日本卓球界でもある。
平野、伊藤の活躍は、それを示しているのかもしれない。