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田中将大、初勝利の裏側を読む。
メジャーで見せた意外な“コミュ力”。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2014/04/07 11:55
メジャー公式戦での第1球は、外角低めに投じられたストレート(約150キロ/カウントはストライク)。夜11時の試合終了後も、ツイッターでの沢山のファンの祝福コメントに「ありがとうございます」と丁寧に答えていた田中。
田中将大は、もう何年もメジャーリーグでプレーしているかのようだった。
いや、こう言っては失礼か。何年も楽天のエースナンバーを背負ってチームを引っ張ってきたのだから。
注目された4月4日のブルージェイズ戦での初登板、私が印象的だったのは、次のふたつ。
・打たれた後も、淡々としていること。
・試合途中で柔軟に配球を変えるなど、「適応力」の高さを見せたこと。
私のメジャーリーグでの取材経験で、日本人投手たちから口々に言われたのは次の言葉だった。
「ホームランを打たれた後の、次の打者の1球目。これが大事。とんでもないところにボールがいくようだと、精神面をコントロールできていない証拠。気持ちが切り換わっていれば、普通にストライクを投げられる」
田中は初回、いきなり先頭打者のカブレラにホームランを打たれ、精神面での変化があったはずだ。
しかし、次の打者のラスマスへの初球は、外角へのフォーシーム(ストレート)で、これが質の高い球だった。ラスマスはこれをひっかけて内野ゴロ。
最初のホームランを引きずることなく、自分の投球を心掛けたところに田中の「成熟した投手」の証拠を見た。
また、この内野ゴロではベースカバーが必要になったが、一塁方向にすぐに走りだし、ホームランのショックはなく、試合に集中していることがうかがわれた。
打たれても、気にしない。
これがメジャーで成功する秘訣でもある。
3回からリズムを掴み、配球を変化させた田中。
そしてもう一点、3回途中からリズムをつかみ、4回、5回と三者凡退に取ったあたり、田中の配球の変化も見逃せなかった。
試合後のインタビューで、
「最初は変化球が多かったんですが、途中からストレートを中心に組み立てて、それが良かったと思います」
と答えている。