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青山敏弘、広島を背負う「責任感」。
最大の激戦区ボランチで4番手に!? 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/03/21 10:50

青山敏弘、広島を背負う「責任感」。最大の激戦区ボランチで4番手に!?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

NZ戦、ピッチの中央で青山敏弘は速いチェックと展開力という武器を存分に発揮した。W杯メンバー23人入りへ当落線上にいる男が見せた、まさにギリギリのパフォーマンス。果たして結果は……。

森保監督がかけた、ある言葉が青山を変えた。

 今の青山は、責任感を自分の中でうまく消化できている感がある。しかし以前は、責任感にとらわれ過ぎてしまい、自分を見失いそうになっていたこともあった。

 転機になったのは、広島が初優勝を遂げた2012年。恩師であるペトロヴィッチがクラブを去ったが、監督にはクラブOBの森保一が就任した。

 森保はコーチとしてずっと青山の姿を見てきた存在でもある。あるとき、新監督に呼び止められ、そしてこう言われたという。

「これ以上は、頑張ろうとかみんなの思いを背負ってガチガチにプレーしなくていいから。今のままで十分だから」

 予期しなかった言葉に、全身の力がスッと抜けていく思いがした。彼の考え方自体に変化が生まれた。

ダメでも「そんなときもある」と思えるようになった。

 昨秋にインタビューした際、彼はこう言っていた。

「頑張るというのが自分の売りというか、それがプレースタイル。でも監督がそう言ってくれて、ちょっと緩めてくれたんです。ストイックにやることだったり、自分を高めようと思う姿勢というのは、自分の中で普通のこと。だけどその頑張り度をちょっとだけ下げてみることにした。

 僕にとっては、凄く助けてもらった言葉になりました。今まではダメだったらダメという考えだったけど、『そんなときもあるだろうな』と捉え方を少しずつ変えていけたのが自分にとっては大きかった」

 余計な力を抜いてプレーすることで、ゲームのなかでやるべきことがより見えるようになってきている。満足は常にしないが、己を激しく責めることもなくなった。

 ブラジルW杯まで残された時間は少ない。

 青山は広島で全力を尽くしながら、W杯メンバー入りを狙うことになる。

【次ページ】 前年のJ王者が、W杯メンバー0人の例はこれまでない。

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