JリーグPRESSBACK NUMBER
Jのトライアウトは非公開・交渉重視?
伊東輝悦ら73人の、長い1日に密着。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2013/12/18 11:35
トライアウトでも、チームの中心で堂々としたプレーを見せた伊東輝悦。過去にトライアウトには、三都主アレサンドロや、市川大祐、廣山望などが参加したこともある。
「えっ、今のオフサイドか!」
最終ラインの裏を取ったサイドハーフが声を上げると、副審が呼応する。
「1mだけ出ていたね。でも(時間はあるから)プレーを続けよう!」
いつもはジェフ千葉サポーターの声援が包むフクダ電子アリーナに、選手やレフェリーのコミュニケーションと、キックのインパクト音だけが響き渡る。
17日、2013シーズン限りの契約満了を通告されたJリーガー、そしてJFL以下のカテゴリーの選手たちが来シーズン以降もプレーを続けるために与えられたアピールの場、「2013JPFAトライアウト」が行なわれた。
日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催するサッカー界の合同トライアウトは2002年から行なわれており、今年で12回目を数える。'10年までは2回に分けて行われていたトライアウトだが'11年以降は年1回となり、フクダ電子アリーナ(通称・フクアリ)で開催されている。
トライアウトといえば、今年のプロ野球合同トライアウトは静岡・草薙球場に入場料無料とはいえ約1万人の観衆を集めた。年末に放映される特集番組などによって注目度が年々高まっていることもあり、NPBはトライアウトを敢えてオープンにした印象を受ける。
各クラブの監督、GMなどが見つめる中のトライアウト。
一方でJPFAトライアウトは対照的だ。
選手たちのプレーを実際に目にできるのは関係者やプレスのみ。一般には非公開となっていて、むやみに“イベント化”せずに選手たちの新たなプレー先を提供する点に重きを置いている。それを象徴するように、施設の一角には選手と関係者が即座に接触できるように「交渉ルーム」が用意された。また'98年フランスW杯日本代表メンバーだった平野孝氏が会場でのスケジューリングを担当するなど、JPFAが率先してこのトライアウトを運営していた。
選手たちを見守った関係者もバラエティーに富んでいる。
横浜FC・山口素弘監督や水戸ホーリーホック・柱谷哲二監督に、来季から町田ゼルビアの監督に就任する相馬直樹氏。彼らをはじめとしたJ各クラブの監督やGM、そして強化部スタッフがメーンスタンドに陣取った。
関係者にはJFL以下のカテゴリや大学サッカー、アジア各国のクラブチーム、そしてフットサルをはじめとした他競技の関係者も見受けられた。その中には'16年リオ五輪で新種目として採用される7人制ラグビーのチーム『サムライセブン』の代表を務める吉田義人氏の姿もあった。