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Jのトライアウトは非公開・交渉重視?
伊東輝悦ら73人の、長い1日に密着。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2013/12/18 11:35
トライアウトでも、チームの中心で堂々としたプレーを見せた伊東輝悦。過去にトライアウトには、三都主アレサンドロや、市川大祐、廣山望などが参加したこともある。
参加選手の平均年齢は26.8歳。39歳の伊東は……。
ゲーム後に自身のプレーについて聞かれた伊東は静かに言葉を紡いだ。
「もちろん急造チームでやる難しさは多少あると思いましたよ。でも元々僕はバランスを調整したりするのが苦手ではないですし、ゲーム中に味方と敵を見て判断して、やれることをやれればいいかなと思っていました」
トライアウト参加全選手の平均年齢は26.8歳。この日最年長だったこと、独特のトライアウトの雰囲気についても、本人は意に介さなかった。
「年齢? そりゃ結構年でしょう(笑)! でも若くても(クラブの期待に応えられるレベルの)プレーができないヤツも当然いると思うし、逆にベテランでプレーできる選手だって当然いる。自分だってそうだと思っているからね。会場の雰囲気については、来る前はクラブ関係者がスタンドに視察に来て、少し緊迫感があるのかなと思っていたけど『視線を気にしてもしょうがないだろ!』という感じでできた。それも年だからなのかな(笑)」
「いつも通り」の円熟味と「ガキンチョ」の心。
11対11のゲームでは常にバランスを保ちながらも、その前に行われた7対7のミニゲームではチャンスと見るや果敢にシュートを放っていた伊東。約1時間半にわたってアピールを続けた。
「現時点では希望も何も言っている場合じゃないですからね。もちろん優先順位で言えば『海外より日本の方がいいかな』とは思いますが、話があれば……。とにかくプレーがしたい。ただそれだけなので。何よりも自分の中で“まだプレーできる”という感覚があるのが(トライアウトに来た)一番の理由なんだと思う。『選手として長くやりたい』という考え方は変わってないんですよね。そういう意味ではガキンチョのままなんです(笑)」
囲み取材をユーモアを交えて締めた伊東は、来年8月31日で40歳を迎える。
「いつも通り」のプレーを遂行した円熟味と、現役を一日でも長く続けたいと思う「ガキンチョ」の心を併せ持つ鉄人は“不惑のシーズン”を迎えることを渇望している。