直撃ミックスゾーンBACK NUMBER
“1試合燃え尽き症候群”は解消か。
オランダ戦の勢いを本物と信じる理由。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/17 12:00
山口螢とのコンビで先発し、ファンデルファールト、ストロートマンと対峙した長谷部誠。引き分けにも決して浮かれず、ファンペルシ不在を冷静に受け止めていた。
オランダ相手の善戦に水を差すつもりはないのだが、どうも信用しきれないのである。
ザックジャパンは強豪相手に好ゲームを演じながら、次の試合になると別人のようにバラバラになってしまうということが、今年に入ってから少なくとも2回あったからだ。6月のコンフェデ杯のイタリア戦と、9月のガーナ戦だ。
日本はコンフェデ杯の初戦でブラジルに惨敗したことがエネルギーになり、続くイタリア戦では真っ向勝負に打って出た。3-4で敗れたものの、ユーロ準優勝チームをぎりぎりまで追い込み、大きな可能性を感じさせた。しかし、直後のメキシコ戦はその熱が嘘かのように1-2で敗戦。イタリア戦の健闘が無駄になってしまった。
ガーナ戦のときも状況は同じだ。8月のウルグアイとの親善試合に負けた反省から、守備の意識を高く持ち、アフリカの雄に3-1で勝利した。ところが1カ月後の東欧遠征では、悪い意味で緊張感が感じられず、セルビアとベラルーシに連敗してしまった。
何か悪いことがあると反発力を得て短期的に頑張るのだが、そこで結果が出ると、ほっと一息ついて元に戻ってしまう。
1試合燃え尽き症候群――。そう呼びたくなるほどに、今年の日本代表はパフォーマンスや士気のアップダウンが激しすぎる。
つい不安要素を探してしまったオランダ戦。
そういう前歴があるから、オランダ戦を見ているときも、ついつい不安要素を探してしまった。
ザッケローニ監督が志向する戦術では、相手ボールをサイドに追い込んだ時に、サイドチェンジができないようにプレスをかけ、同サイドでボールを取り切ることを目指している。ボールがない側のサイドバックが思い切って体を中に向けられるのも、「相手はサイドチェンジができない」という前提があるからだ。