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吉田麻也の“例え”はスベらない?
『JIN』に、スーツに、ジョブズまで。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byDaiju Kitamura/AFLO

posted2013/11/15 10:30

吉田麻也の“例え”はスベらない?『JIN』に、スーツに、ジョブズまで。<Number Web> photograph by Daiju Kitamura/AFLO

代表の試合で、内田篤人らチームメイトと談笑する吉田麻也。このコミュニケーション能力は、彼の優れた1つの力であることは間違いない。

雑誌Numberの連載、吉田麻也「Survive ~日本人DF 頂点への道~」。
Number Webでは、雑誌と連動したウェブオリジナル企画
「Survive PLUS ~頂点への道~」として、Number本誌には
掲載されなかったエピソードや、取材の舞台裏などをお届けします。

第6回の今回は、サッカーとは少し離れた話題の中から、
吉田麻也の「例え話」にまつわる、その独特な思考法に迫ります。

 10数年前、人気お笑いコンビのダウンタウンが出演する、日曜夜8時から放送されていたバラエティ番組があった。多くの企画モノやコントで人気を博し、いまでも根強いファンが存在している有名番組である。

 その中に、『たとえ警視』というコントがあった。松本人志扮する警察官が、取調室の中で容疑者役に向けて、とにかくさまざまな例え話をしていくというものである。

 そして10月、サウサンプトンで吉田麻也を取材したなかで印象的なことがあった。吉田がこの警察官のように“例え”を頻繁に持ち出し、話をよりわかりやすく伝えようとしていたのだ。

 吉田がサッカー選手の中でも、話し好き、話し上手な一面を持つことは、すでに広く知られていることだろう。そんな男が、代表チームや自分の選手人生などあらゆるテーマに関して“例えて”いったのだ。

 取材のテーマは真剣な題材であるのだが、そんな“例え”の連続に、吉田の思考の傾向が垣間見えた――。

本田圭佑に薦められた『JIN-仁-』がオーバーラップ。

 10月の日本代表・欧州遠征。ある日、宿舎の食堂でリラックスした雰囲気の中、選手たちの間で話題になったのが、「いままでで最高のドラマ作品は?」だったという。このとき、吉田に本田圭佑がある作品を薦めてきた。

「『JIN-仁-』あるやろ。あれはホンマに泣ける。絶対見た方がええ」

『JIN』とは現代に生きる一人の医者が、江戸時代にタイムスリップし、そこで主人公が現代医療の知識を振るい、当時の人々と信頼、友情、愛情を育んでいくというヒューマンドラマ。俳優・大沢たかお、女優・綾瀬はるかが出演し、シリーズ2作品とも高視聴率を記録した大人気作品である。

「もちろんドラマ自体は知っていたけど、観たことがなかった。本田さんがそれぐらい推してくるのなら、観てみようと思いました」

 そう思い観てみると、すぐに吉田もハマってしまったという。

 そしてこのドラマが吉田の頭のなかに印象に残っていたのだろう。『JIN』の話題が取材の最中にオーバーラップしてきたのだ。

【次ページ】 “粗着裏”ではなく、サビルローのスーツに。

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