直撃ミックスゾーンBACK NUMBER
“1試合燃え尽き症候群”は解消か。
オランダ戦の勢いを本物と信じる理由。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/17 12:00
山口螢とのコンビで先発し、ファンデルファールト、ストロートマンと対峙した長谷部誠。引き分けにも決して浮かれず、ファンペルシ不在を冷静に受け止めていた。
守備方法を見抜かれたことで起こったロッベンのゴール。
だがオランダ戦の前半には、簡単にサイドチェンジを通される場面があった。そして、そのひとつが失点につながってしまう。ファンデルファールトが左からのボールをボレーで右に展開。がら空きの右サイドにロッベンが走り込み、ドリブルから美しい弧を描くシュートを決めた。前提が崩れれば、守備が混乱してしまうのは当然だろう。
前半、中盤の守備がマンツーマンに近い形だったことも気になった。
オランダの攻撃時には、ナイジェル・デヨングに本田圭佑、ストロートマンに長谷部誠、ファンデルファールトに山口螢がマークについていた。しかし、そういうマークの足し算・引き算は彼らの得意分野だ。
ストロートマンとファンデルファールトが日本の守備のやり方に開始約10分で気がつき、マークを逆手に取って、2人はまるでFWかのように前に位置を取った。それにマークがついていくことで中盤がスカスカになり、余計にサイドチェンジを防げなかった。
デヨングが退いて、オランダはスケールダウンした。
そして日本の善戦を語るうえで、何より無視できないのがナイジェル・デヨングがハーフタイムにケガで退いたことだろう。
前半はデヨングがアンカーの位置でうまくフリーになってボールを引き出し、左右にパスを散らしてゲームメイカーになっていた。だが、後半はその位置に左サイドバックのブリントが入り、オランダは大きくスケールダウンした。もしデヨングが交代していなければ、まったく別の展開になっていたかもしれない。
そういうことを考えれば考えるほど、またしても1試合で勢いが途切れてしまうのではないかという疑念を抱いてしまう。
だが、今度こそは大丈夫かもしれない。
オランダ戦後、ミックスゾーンで選手の話を聞くと、もはや強豪相手に善戦したからといって、浮かれている様子は感じられなかったからだ。