自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
葛飾区が産んだ「昭和の2大スター」
両さんと寅さんに、教わったこと。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2010/12/18 08:00
両さん連載30年の歴史が磨いたアピール力。
駅前の一本道、"ゆうろーど"を走っていると、今度は中川銅像。そして、次に目に付くのが和菓子・伊勢屋さんの「両さんどら焼き」である。
店、撮らせていただいていいですか? と聞くと、ああいいよ、好きに撮ってきな、と、想定通りの言葉が返ってくる。まるで「こち亀」の漫画の台詞のようだ。まさに葛飾。まさに亀有。
ちなみに両さんどら焼きは、栗入りの正統派の味付けのものが190円。素朴に美味しい。
さらに行くと、マニアには「両さん神社」として名高い亀有香取神社がある。
境内には「少年よ、あの星を目指せ!」と空を指さす両さんの銅像、そして、亀有案内大看板(亀有地図と、昭和の風景と、「こち亀」名場面などがちりばめられている)が、圧倒的な存在感を見せている。亀有観光(?)は、この神社から始めると、分かりやすくていいかもしれない。
それにしてもスゴいと思うのは、この亀有という街の、徹底した「両さんの街」化だ。駅前からして「両さんそっくりさんを指名手配!」のポスター(何かのイベントの告知だ)がべたべた貼られてるし、商店街には数々の両さんの幟。どの方向を見ても両さんの顔が目に入らない場所がない。
連載開始から30年以上を数えるというのは、そういうことなのだ。
30年以上もの間、常に人目にさらされてきたというアピール力もさることながら、30年以上続いた、というのは、誰にとっても「面白い」と思われるポピュラリティを持っているということだから。
自転車(スポーツバイク)で行くと亀有は小さい。ママチャリならば、ピッタリの大きさかもしれない。そういえば両さんも例の警察官御用達の実用車を私物化して乗り回していたな。
知られざる葛飾名産。練馬大根とならぶ東京「二大農産物」。
さて、というわけで、亀有の次は柴又に行こう。
東京の輝くような銀杏の風景は、葛飾も変わらずそうで、環七沿いの大谷田陸橋では、もう散った落ち葉で路上が真っ黄色になっている。
中川(本物の川の名前の方)を越えて松戸方面へ。
その途中「あ、そういえば」と思う風景と出会う。何のことかというと、葛飾キャベツだ。
葛飾という区は、おおまかなところ「最寄りの駅から徒歩15分」程度になると、畑が目立つようになる。やはり「東京の田舎」風情は残っているのだ。で、その名産農作物が「葛飾キャベツ」というわけ。練馬大根と並んで東京の「二大農産物」と言えるかもしれない。で、柴又へ行く途中、そのキャベツ畑のようなものが……、おお、あるある。
でも、おや? キャベツにしてはちょっとヘン。葉っぱがワイルドで、なんだか開いてる。で、よくよく見てみたら、これがブロッコリーなのだ。
住宅地の隙間に、ぽつりぽつりとブロッコリー畑。
なるほど、葛飾キャベツは進化を遂げ、最近は葛飾ブロッコリーになったのか。
と、ご存じだろうか、ブロッコリーとはキャベツと同じ原種を持つ、というより、キャベツの変種、進化形なのだ。
葉っぱが似ているのも当然なのであった。