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浦和、川崎を圧倒してナビスコ決勝へ。
「奪う力」で取り戻した理想のサッカー。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2013/10/17 10:30

浦和、川崎を圧倒してナビスコ決勝へ。「奪う力」で取り戻した理想のサッカー。<Number Web> photograph by AFLO

攻撃力こそが浦和の最大の武器だが、その武器を生かすためにも守備の意識は必須。ハードワークを厭わないテクニシャンは、強い。

川崎に今季2度敗れ、浦和は何を学んだのか。

 終盤に入って川崎は4-2-3-1から5-4-1へと布陣を変えた。その直後に決勝ゴールを奪われたのは、あくまでも結果論。システム変更による乱れを突かれたわけではない。むしろ、あれだけ中央にくさびのパスを打ち込まれていたのだから、サイドハーフを絞らせるなど、もっと早い段階でポジショニングを修正したり、システムを変えたりして、ボールの回収率を高めたかった。

 その点で痛恨だったのは、ハーフタイムで中村憲剛を失ったことだろう。前半20分頃に背中を傷め、「前半で代わるわけにはいかなかったから、ハーフタイムまで我慢した」(中村)ものの、それ以上、プレーを続けることができなかった。

 中村の交代によって、崩しの局面でのアイデアと前線でのタメが損なわれてしまったが、そうした攻撃面でのパワーダウンもさることながら、微調整の指示を出す“ピッチ上の監督”を失ったダメージのほうが大きかったかもしれない。

 浦和は今シーズン、川崎と二度戦っていて、7月13日のJ1第16節では0-4の大敗、9月7日のナビスコカップ準決勝第1戦では2点を先行しながら逆転負けを喫していた。

 それを踏まえて、今回はどんな川崎対策を練り、結果に結びつけたのか――。そう問いかけると、那須大亮はきっぱりと否定した。

「9月は結果が出なくて苦しんだから、今一度、自分たちのサッカーをするという原点に立ち返ろうって話し合ったんです。自分たちのサッカーが何かといえば、ボールも人も動いて、高い位置からプレスを仕掛ける積極的なサッカー。それには運動量が必要だということを、みんなで確認し合った。だから、今日勝てたのは川崎対策うんぬんではなく、本来の姿を取り戻せたからだと思います」

浦和は成果を見せ、川崎は教訓を得た。

 相性の悪かった相手から奪ったパーフェクトに近い白星は、浦和に“本物”の自信をもたらすに違いない。

 一方、川崎はボールを保持して主導権を握ることを信条にトレーニングを積んできたが、自信を持って臨んだはずの大一番で、前からの激しいプレスの前に、パスをつなげず、大事なボールを奪い返すことすらままならないという事実を突きつけられてしまった。

「つなぎたかったけど難しかったし、うまく奪えなかったから、蹴って、取られての繰り返し。自分たちのサッカーがまったくできなかった。懸けていた大会だったので、本当に悔しいです」

 過去何度も2位や準優勝に泣いてきた伊藤宏樹は、言葉を絞り出すようにして言った。

 だが、川崎に喫した屈辱的な2敗から浦和が這い上がってきたように、川崎にとってこのショッキングな敗戦が、ひと皮むけるきっかけになるのだとしたら……。

 のちに今シーズンを振り返るとき、双方にとってこの試合は、大きな意味を持つ一戦になるかもしれない。

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