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素人を二輪の世界へ誘う
“自転車マンガ”の魅力。
~『弱虫ペダル』と『のりりん』~
text by
南信長Nobunaga Minami
photograph bySports Graphic Number
posted2010/11/17 06:00
『弱虫ペダル』 渡辺航著 1~14巻、以下続刊 秋田書店 400円+税
「素人が自転車の魅力にハマっていく」という共通点。
ハンデをもらって先行しながら、あっさり抜かれる主人公。が、サドルの高さを調整してもらって格段に走りやすくなったママチャリで猛追開始。急坂を登りながら「こげばこぐほど進むのって楽しいですね」と笑顔を見せる。そこから自転車の面白さに目覚めた主人公は、名門の自転車部に入部、仲間とともにインターハイをめざす。スプリント、ヒルクライムなど、各自得意ジャンルを持った個性的なライバルたちがしのぎを削る熱いドラマは、まさにスポ根の王道だ。
ほかにも、信金の営業マンがなりゆきでロードレースに出場するハメになる『かもめ☆チャンス』(玉井雪雄)、自転車店を舞台に自転車にまつわるドラマを描き続ける『アオバ自転車店』(宮尾岳)など、自転車を題材としたマンガは、ひとつのジャンルとして定着しつつある。
エコ意識や節約志向の高まりもあって、自転車通勤なども増えている昨今。自転車マンガが増えるのも当然といえば当然だが、作画的には手間のかかる自転車をあえて描こうというのだから、そこには相応の“自転車愛”がある。そして、多くの作品に共通するのが、素人が自転車の魅力にハマっていく展開。読めば、自転車に乗りたくなること請け合いだ。