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短期決戦の肝は“投手の踏ん張り”。
日本Sを左右する意外なデータとは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki/Tamon Matsuzono
posted2010/10/30 08:01
今シーズン、成瀬は両リーグトップとなる4度の無四球試合を記録。ロッテ投手陣はチェンを筆頭とする中日の投手力と互角に渡り合えるか
驚異的な与四球数の少なさを誇るロッテと中日。
そしてもう一つはパ・リーグの勝負がついた第6戦だ。
この試合ではロッテは先発の成瀬が無四球で完封勝利。一方のソフトバンク・先発の杉内は、両軍無得点の5回に里崎、西岡の連打から崩れて3連続四死球で押し出しの2失点。さらに今江の2点適時打を浴びて4失点を記録してしまった。
やはりここでも勝負の明暗を分けたのは、四球だったというわけだ。
短期決戦では四球が勝負を決める。
その印象がどうしても強い。そこで両リーグのCSファイナルステージの勝敗と四球数を調べたのが下記の数字だ。(左が勝利チームで数字は与四球数)
●パ・リーグ
<第1戦> ロッテ 3 ソフトバンク 6
<第2戦> ソフトバンク 1 ロッテ 1
<第3戦> ソフトバンク 3 ロッテ 5
<第4戦> ロッテ 1 ソフトバンク 6
<第5戦> ロッテ 2 ソフトバンク 2
<第6戦> ロッテ 0 ソフトバンク 5
●セ・リーグ
<第1戦> 中日 3 巨人 5
<第2戦> 中日 2 巨人 2
<第3戦> 巨人 2 中日 1
<第4戦> 中日 5 巨人 7
中日・巨人戦の第3戦以外では、より多くの四球を出したチームが必ず敗れている。と同時に日本シリーズに進出したロッテは1試合平均で2個、中日も同2.75個と与四球率が非常に低いことが分かる。
特に両チームのリリーフ陣は驚異的で、ロッテは全6試合で延べ11人のリリーフ投手が16回3分の1を投げて、与えた四球は第4戦の小林宏の2個だけ。一方の中日も4試合で延べ11人のリリーフがマウンドに上がり10回3分の2で高橋、岩瀬の各1個、合わせて2個しか四球を与えていない。