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短期決戦の肝は“投手の踏ん張り”。
日本Sを左右する意外なデータとは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki/Tamon Matsuzono
posted2010/10/30 08:01
今シーズン、成瀬は両リーグトップとなる4度の無四球試合を記録。ロッテ投手陣はチェンを筆頭とする中日の投手力と互角に渡り合えるか
充実の投手陣を擁する両軍の決戦は息詰まる攻防に。
戦前からシーズンのチーム防御率3.29を誇る中日はチェン、吉見を軸にした先発陣と高橋、浅尾、岩瀬というリリーフユニットを誇る投手王国として評判だった。それだけにこれぐらいの数字は、想定内といえば想定内でもあったが、CSでは予想を上回る数字を残しているのがシーズンのチーム防御率4.10というロッテの投手陣だ。
先発では成瀬が2完投(1完封)という絶対的存在となって、渡辺俊も安定感を見せている。先発が早めに崩れても、ロングリリーフのできる小野に薮田、内、伊藤、そしてクローザーの小林宏という布陣がそれぞれの役割をこなして勝利に貢献している。
その結果、両チームともに、終盤の相手の自滅的な失点はほとんど期待できないことは明らかなだけに、シリーズは1点が非常に重い戦いとなるのが予想されそうだ。
「短期決戦ではまず先取点」――これもシリーズを前に必ず言われる野球の鉄則だ。
驚異的に四球を出さない両チームが激突する今年のシリーズでは、この球界の“格言”が、いつも以上に重い金言になりそうだ。