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イギリスGPでもタイヤトラブル続出。
危機を水際で止めた各チームの英断。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byPress Association/AFLO

posted2013/07/25 10:30

イギリスGPでもタイヤトラブル続出。危機を水際で止めた各チームの英断。<Number Web> photograph by Press Association/AFLO

レース後、使用されたピレリのタイヤを返却するフォース・インディアのスタッフ。

ブリヂストンユーザーだけがスタートに並んだ。

 そこでミシュランはコースの変更を要請する。最終コーナーに人工のシケインを作って、速度を下げようというのである。しかし、スポーティングレギュレーションの観点から、この提案は受け入れられず、レースは通常通りのコースで開始されようとしていた。

 そのため、ミシュラン・ユーザーはフォーメーションラップを終えると、続々とピットロードへと姿を消し、レースを棄権。スターティンググリッドにはブリヂストン・ユーザー6台だけが並ぶという前代未聞のレースとなった。

 ブーイングとともにスタートしたレースは、観客の怒りを増幅させ、トップを走るフェラーリのマシンに観客席からモノが投げ込まれもした。その中には「ブリヂストン・ユーザーがコース変更に応じていれば、全車そろって、レースができていたのに」という思いがあったのかもしれない。

内圧を高くすれば、グリップ不足は避けられない。

 しかし、ブリヂストン・ユーザーのある関係者は次のように語った。

「もし、あのときミシュラン・ユーザーがタイヤの内圧を高くするという対策を講じていれば、バーストという問題は起きなかったと思う。しかし、内圧を高くすれば、オーバル以外のインフィールドセクションでグリップ不足に陥り、ブリヂストン・ユーザーにまったく歯が立たなかったかもしれません。マクラーレンやルノーといったタイトル争いをしていたミシュラン・ユーザーのトップチームが、当時テールエンダーだったジョーダンやミナルディといったブリヂストン・ユーザーにオーバーテイクされるのは、どうしても許せなかったのでしょう」

 あれから、8年後。F1発祥の地、シルバーストンで行なわれたイギリスGPも、似たような状況に陥っていた。ハミルトンとフェリペ・マッサがバーストし、1回目のタイヤ交換を終えたベッテルとロズベルグ、そしてアロンソのタイヤにバーストの兆候が起きていたのである。もし、タイヤ交換したこの3人にも、その後バーストが立て続けに発生していたら、レースは中断されていたかもしれない。

 だが、レースはセーフティーカーが導入されたものの、中断されることもなく、その後2人のドライバーにバーストが発生しながらも、最後まで行なわれた。

【次ページ】 各チームが独自の判断で内圧を上げた。

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