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大学卒業前にJリーグに飛び込め!
~敏腕代理人T・クロートの移籍条件~
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2010/10/21 10:30
8月22日に行われたSBSカップ国際ユース、U-19ガーナ戦での藤田息吹(9番)。この試合、藤田は1得点を挙げ、4-1で勝利した
サッカー選手にとって、「若さ」も才能のひとつ、ということなのだろう。
9月下旬、代理人のトーマス・クロートが日本を訪れ、Jリーグを計6試合視察した。クロートは高原直泰、稲本潤一、長谷部誠、小野伸二、香川真司、内田篤人ら、多くの日本人選手のブンデスリーガへの移籍を実現させた敏腕代理人だ。かつては1.FCケルンやドルトムントでプレーをし、ドイツ代表キャップも持つクロートは、現在はJリーグからタレントを発掘する役目を担っている。
いったいクロートは、選手のどこを見ているのか? それを知るために、彼の「Jリーグ視察ツアー」の足取りを追った。その中で最も印象に残っているのが、「年齢」についての見方である。
クロートは、はっきりと言った。
「日本人選手がヨーロッパに移籍するのが28歳では遅すぎる。個人差もあるが、23歳、もしくは24歳が境界になる」
つまり、Jリーグをスカウティングするときには、23、24歳で線を引き、それより若い選手しか見ないということだ。実際、クロートが手元のメンバー表にチェックをつけている選手は、全員24歳以下だった。
ドイツW杯には出場していた大卒日本代表選手たち。
今年8月にフライブルクへ移籍した矢野貴章のように、26歳で声がかかった事例もある。だが、ケガ人が続出したことによる緊急補強の意味合いが強く、これは特殊ケースと考えるべきだろう。
選手のキャリアを考えるうえで、あらためて注目したいのは大学でサッカーをするということだ。
Jリーグ発足後、一時的に大学サッカーのレベルは落ちたが、大学選抜の活動に力を入れるなど、福岡大学の乾真寛監督らの取り組みにより、Jリーグの網からこぼれ落ちた人材を育成する枠組みが再構築された。
2006年W杯には、大卒Jリーガーの坪井慶介(福岡大卒)と巻誠一郎(駒澤大卒)が出場。2010年W杯のサポートメンバーには、現役大学生の永井謙佑(福岡大)と山村和也(流通経済大)が選ばれた。