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大学卒業前にJリーグに飛び込め!
~敏腕代理人T・クロートの移籍条件~
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2010/10/21 10:30
8月22日に行われたSBSカップ国際ユース、U-19ガーナ戦での藤田息吹(9番)。この試合、藤田は1得点を挙げ、4-1で勝利した
もし将来欧州移籍を目指すなら大学サッカーの意義は?
高卒でいきなりJリーグに進むよりは、大学の方が実戦経験を積みやすいというメリットがあり、大学サッカーはJFLとともに、日本サッカー界のピラミッドの中で3部リーグの役割を担っていると言える。
しかし、将来よりレベルの高いリーグでプレーすることを目標にしたら?
もし24歳を欧州移籍のボーダーラインとすると、大学卒業後、2年間しか猶予がない。
J1に慣れるまでの時間や、レギュラーの座を手に入れるまでの時間を考えたら、よほどうまくいかない限り、ヨーロッパのスカウトの目に留まるのは難しそうだ。
大学をきちんと卒業するのは大事だとしても、はたしてサッカー部に4年間在籍するのは得策だろうか。
そこで参考になるのが、長友佑都だ。
明治大学3年生のときにJリーグ強化指定選手となり、FC東京の練習に参加。ナビスコカップ1試合に出場した。そして4年生のときに、大学サッカー部を退部し、FC東京に正式入団。瞬く間に日本代表にステップアップし、今夏にイタリアのチェゼーナに旅立った。移籍が決まったとき、長友は23歳だった。
大学サッカー部を辞めずJに挑戦する手段もあるが……。
他にも卒業を待たず、次の扉を開けた選手はいる。現在FC東京でプレーする平山相太は、筑波大2年生のときにオランダ1部のヘラクレス・アルメロに移籍。現在鹿島の伊野波雅彦はワールドユースの翌年、阪南大を休学してFC東京と契約。現在大宮の北野貴之は、札幌大を中退して新潟に入った。
サッカー部を退部せず、強化指定選手としてJリーグに挑戦するという手もある。だが、福岡大の永井謙佑は大学、ヴィッセル神戸、ユース代表の3カ所を行ったり来たりしたことで、練習量やメニューにバラツキが生まれ、調子を落としてしまったことがあった。やはり「二兎を追う者は一兎をも得ず」だ。本気で上を目指すのなら、お客さん状態ではなく、退路を絶った方がいい。もちろんクラブ側がほしいと言ってくれなければ実現しないが、きちんと売り込めば、その力を持った大学生は必ずいるはずだ。