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ウルトラトレイル・マウントフジ。
サポートから見た100マイルの世界。
~第2回UTMF密着ドキュメント~
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph bySho Fujimaki
posted2013/07/18 06:00
女子優勝を飾ったクリッシー・モール。自らをサポートしてくれた友人とのゴールは温かい拍手に包まれた。
海外のトップランナーも日本のスーパーで食料を調達。
「UTMFに参加するから、日本に行くね」
アドベンチャーランナーの和木香織利が、アメリカからこんなメールをもらったのは今年に入ってからのことだった。メールの送信者はクリッシー・モール。2009年に世界最高峰の100マイルレースであるUTMB(ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン)の女子優勝者であり、世界を代表する女性ウルトラランナーの1人だ。
2010年に日本で行なわれたレースでクリッシーのペーサーを務めて以来の友人だった和木は、クリッシーのメールに「じゃあ、サポートをするね」と特に何も考えずに返事を出した。
クリッシーと和木はレース前に打ち合わせをしていたが、優勝候補筆頭である彼女とのそれはとてもラフなものだったという。
コース設定と彼女の実力からフィニッシュは24時間と想定。どのポイントから夜になり、どこで朝を迎えるのか。着替えやサングラスが必要なポイントはどこか。こういったことを予想していく。
あとは各エイドで何を補給するかという程度。クリッシーからはエナジージェルやサプリメントなど、普段から携行している行動食を渡され、それ以外は、さつまいもに、歌舞伎揚げせんべい、コロッケにあんぱんといった日本のスーパーで調達したものばかり。
世界中のレースを転戦し、その国で手に入るモノを口にすることの大切さをよく知る一流ランナーにとって、それは特別なことではないのだろう。
河口湖・八木崎公園をランナーたちが一斉に飛び出し、スタート。
4月26日金曜日午後3時。数時間前に小粒の雹を降らせた雲も東へと過ぎ去り、1000人近いランナーが河口湖畔の八木崎公園を飛び出して行く。長い長い100マイルの旅が始まった。
全ランナーを見送った後、たっぷり荷物を積んだ車に乗り込み、一路、A2本栖湖スポーツセンターへ向かった。僕たちサポートにとっても闘いの号砲となった瞬間を真っ白な雪をかぶった富士山が静かに見守っていた。
A2 本栖湖スポーツセンター(23.8km地点)
給水を設置し、バナナを切るボランティアの人たちが準備作業をする中、早速仲間を待ち構えるための場所取りを始めた。
トップで飛び込んできたのは、昨年のチャンピオンでもあるジュリアン・ショリエ(フランス)だ。まだまだ序盤。ここまでの約24kmは比較的アップダウンも少なく、下り基調のロードもあることからか、後続の選手も続々とやってくる。
僕らの中で想定タイムが28時間で一番速い並木雄一郎から、制限時間ぎりぎり45時間での完走を目指す石井基善まで、みんな事前に聞いた予想タイムより速い。明らかにオーバーペースだった。
「先は長いから、焦るなよー」