プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「個の力が勝敗を分けた」シーズン。
プレミア'12-'13ベスト11、堂々発表!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2013/06/04 10:31
第34節チェルシー戦で65分に相手DFイバノビッチに噛み付いた後、終了間際に劇的同点ゴールを決めたスアレス。
「個人のクオリティが勝敗を分けた」とは、5月27日のチャンピオンシップ(イングランド2部)・プレーオフ決勝で敗れたワトフォードの監督、ジャンフランコ・ゾラの発言。
この、かつての名手率いるクラブは、クリスタル・パレスFCのMFウィルフレッド・ザハが奪ったPKで均衡を破られプレミアリーグ昇格を逃したのだ。得意のドリブル突破でカウンター攻撃を先導したザハは、来季からマンチェスター・ユナイテッドのユニフォームを着ることが決まっている、20歳の逸材だ。
そこで今回は、そのマンUが断トツ優勝を決めた2012-13シーズンを、「個の力」に注目して振り返ってみたい。今季ベスト11には、プレミアでも主流になった4-2-3-1で並んでもらう。
優勝争いの決め手は、一般的にマンUのロビン・ファンペルシだったと言われる。
たしかに、マンUの新エースは、リーグ得点王となってチームを牽引した。優勝を決めた第34節アストン・ビラ戦(3-0)でのハットトリックが貢献度の高さの象徴だ。
ファンペルシに引けを取らない、スアレスの得点能力。
しかし、一大得点源としては、ルイス・スアレスも引けをとらない。
周囲のサポート力がマンUのレベルにはない7位のリバプールで、1月末のフィリペ・コウチーニョというMFの即戦力加入を待たずに、昨季を上回る得点を上げていた。第34節チェルシー戦(2-2)、終了間際の同点ゴールで23に伸びた得点数は、同節で相手DFに噛みついて10試合の出場停止処分を受けていなければ、ファンペルシの26を超えていた可能性もある。
そこで、1トップの座はスアレスに与え、ファンペルシにはベストゴール賞を授けたい。
アストン・ビラ戦での2点目、ウェイン・ルーニーの60mパスを捉えた左足ボレーは最高水準の美技。「ウェインのパスが美しすぎて、そのまま打つしかないと思った」という、後日談も秀逸だった。
マタの正確無比なアシストを「劣等品」とは呼ばせない。
2列目トリオの中央はフアン・マタだ。
移籍2年目のスペイン人プレーメイカーは、代表戦を含めれば75試合もこなしたシーズンに、ハイレベルのパフォーマンスを維持した。
1年目には、昨季プレミアのアシスト王で、母国代表でポジションを争うダビド・シルバの「劣等品」と対戦相手のファンに野次られたが、今季の12ゴール12アシストは、マンチェスター・シティMFの4ゴール8アシストを上回る。シルバの低調がマンCのリーグ王座防衛失敗の一因となった9カ月間で、マタは、得点数を昨季から倍増させ、リーグの新アシスト王となって「高級感」をアピールし、前半戦にして監督交代を見たチームを3位に導いた。