プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「個の力が勝敗を分けた」シーズン。
プレミア'12-'13ベスト11、堂々発表!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2013/06/04 10:31
第34節チェルシー戦で65分に相手DFイバノビッチに噛み付いた後、終了間際に劇的同点ゴールを決めたスアレス。
トッテナムに君臨した「ワンマン」ベイルの超絶個人技。
左サイドには、ギャレス・ベイルを選ばざるを得ない。
序盤戦は比較的静かだったが、その後の「ワンマン」ぶりは驚異的。最終的には、5位トッテナムの72ポイント中25ポイントが、ベイルのゴールで直接もたらされている。最終節サンダーランド戦(1-0)で4位浮上に一縷の望みを与えたのも、必殺の左足による25m弾だった。1月末のノリッチ戦(1-1)で1ポイントをもぎとった、自陣内からの爆走ゴールを披露できる選手は、クリスティアーノ・ロナウドがレアル・マドリーに去った後のプレミアでは、ベイルしかいない。
プレミア勢がベスト16で全滅した今季CLで、欧州最高峰の舞台が最も相応しかった「個人」は、出場が叶わなかったベイルだった。
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2列目の残る1名は、移籍1年目にして上質のプレーを披露し続けたサンティ・カソルラが入る。
今季のアーセナルは開幕当初の零封が話題を呼び、終盤戦でも4位を死守した最終節ニューカッスル戦(1-0)のように、地味にポイント奪取を重ねた。とはいえ、「その気」になった際の流麗さは見事。圧巻は、10分間で4点を奪った1月後半のウェストハム戦(5-1)だ。波が激しかったルーカス・ポドルスキが、1ゴール3アシストと当たった一戦だが、最も目を引くゴールは、カソルラがさり気なく決めたバックヒールでのチーム3点目だ。
アーセナルらしい大勝は、残り15試合を11勝1敗3引分けという、ラストスパートへの着火剤ともなった。
フェライニの奮励がマンU新監督の決定を後押し!?
ダブルボランチの一角は、エバートンのマルアヌ・フェライニのものだ。
前線起用が増え、チーム内でたった1人だけリーグ戦の得点数を二桁に乗せたが、当人は「守備的MFだ」と言い張る。
ターゲットマンとして頼られる高さと強さは、マンU守備陣を圧倒し、決勝ゴールまで奪った開幕戦(1-0)にして明らか。加えて、ハードワークの意識と意外な機動力もチームには欠かせなかった。3月のFAカップ準々決勝でウィガンに惨敗(0-3)した翌週、試合前の表情にも必勝の決意が見て取れたフェライニは、後半ロスタイムの守備からドリブルで走ってアシストをこなし、マンCに止めを刺した(2-0)。攻守に敵が恐れるMFの存在がなければ、エバートンの6位はあり得ず、デイビッド・モイーズ監督のマンU入り決定も説得力が弱まっていたと思われる。
中央でコンビを組むのは、やはり攻守に欠かせない存在だった、サウサンプトンのモルガン・シュネデラン。
不動のCBとなった吉田麻也の手前には、中盤の底で盾となり、フィードの受け口ともなるシュネイデルランの姿があった。豊富な運動量と攻守の切り替えの速さは、1月に就任したマウリシオ・ポチェッティーノ監督が、“プレッシング・サッカー”を持ち込んだことで更に生かされた。マンUの中盤を堅実に支えたマイケル・キャリックも捨て難いが、リーグ戦で、1試合多い36試合に先発し、4点多い5ゴールを決めた23歳の輝きが、31歳の燻し銀を上回った。