コンフェデ杯通信BACK NUMBER
【コンフェデ2013 出場国解説】
“スーパーイーグルス”完全復活へ!?
ナイジェリアが誇る不動の中盤トリオ。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2013/06/04 10:30
2月10日、ヨハネスブルクで行なわれたアフリカネーションズカップ決勝でブルキナファソを破り、19年ぶり3度目の優勝。アフリカ王者としてコンフェデ杯出場権を獲得した。
出場全8カ国の解説コラムを毎日公開していきます。
今回はアフリカネーションズカップを制し、復活を印象づけたナイジェリア。
雌伏の時を経て、“スーパー・イーグルス”は再び羽ばたくのでしょうか?
'90年代、躍進するアフリカの象徴として注目を浴びたナイジェリア。2m近くの長身ながら柔らかなボールタッチで最前線に君臨したヌワンコ・カヌ、'98年W杯フランス大会で“無敵艦隊”として優勝候補にも挙げられていたスペインを強烈なスーパーミドルで沈めたサンデー・オリセーら、驚愕の身体能力を誇った選手たちが一時代を築いた。
地域 | アフリカ代表 (ネーションズカップ2013優勝) |
出場回数 | 7大会ぶり2回目 |
監督 | スティーブン・ケシ |
FIFAランキング | 28位 (5月9日現在) |
しかし給与不払いなどを理由に選手と協会間の“お家騒動”が度々勃発。さらに個人技術に頼った戦いぶりが対戦国に研究されると脆さを見せ始めた。'02年以降のW杯は出場した2度ともグループリーグ敗退。'06年ドイツ大会では本大会出場さえ逃す憂き目にも遭った。
ドログバらを擁するコートジボワールやガーナの“新2強”の後塵を拝し、近年はアフリカの雄としての存在感すら失っていたナイジェリアだが、今年2月に行われたアフリカネーションズカップ2013で復活を印象づける戦いぶりを披露した。
グループリーグを2位で通過すると、準々決勝でコートジボワールと激突。43分に大会得点王を獲得した(4得点)エメニケが無回転FKを叩き込み先制する。一度は追いつかれたものの、78分に国内リーグに所属するサンデー・ムバがミドルシュートを叩き込んで2-1で勝利した。
この勝利で勢いに乗ったナイジェリアは準決勝でマリを4-1で粉砕すると、決勝では新興国ブルキナファソに苦しんだものの再びムバが決勝点を挙げ、19年ぶり3度目のアフリカ王者に輝いた。
エースの不在をミケル、オナジ、ムバの中盤トリオは埋められるか?
初出場を果たした'95年以来となるコンフェデの舞台だが、懸念はエメニケがひざの故障で招集から漏れる点。所属するスパルタク・モスクワで'12-'13シーズンのチャンピオンズリーグに出場し、4試合で2ゴール2アシストを記録したエースの不在は大きい。
前線に不安を残す一方で、中盤を任される3人は不動だ。
アンカー役を務めるのはチェルシー所属7シーズン目を迎えたジョン・オビ・ミケルだ。188cmの恵まれた体躯を生かしたボール奪取能力はアフリカ人特有のものだ。また20歳にしてラツィオのレギュラーをつかんだオゲニ・オナジにも注目。小柄ながらも敏捷性とパスセンスを兼備した有望株で、今大会でのブレイクが期待される一人だ。
彼らに加え、アフリカネーションズカップで大活躍したムバの3人を起点としたロングカウンターがナイジェリアの主な武器だ。他にもミケルと同じくチェルシーに所属するサイドアタッカー、ビクトル・モーゼスらもおり、チームは若返りを果たしている。
アフリカネーションズカップ優勝直後、スティーブン・ケシ監督が給与支払いの滞納などで協会と対立して退任騒動が起きるなど、ドタバタぶりは相変わらず。世代交代を果たした“スーパー・イーグルス”は世界に向けて再び羽ばたけるのだろうか?