野ボール横丁BACK NUMBER
“常勝”聖光学院と“常笑”本庄一。
ダークホース校が甲子園を熱くする!
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/08/05 12:10
2004年から2007年までは、夏の甲子園史上、かつてないほどの「異常気象」だったと言っていい。
なにせ、駒大苫小牧、駒大苫小牧、早実、佐賀北と、4年も続けてほぼ無印チームが優勝しているのだ。
だから、いつかは例年通りに戻ると思っていた。
'08年は、大阪桐蔭。
'09年は、中京大中京。
誰もが納得。大本命が盤石のレース運びでぶっちぎった、そんな印象だった。
'07年も8回表が終わった時点では、佐賀北は広陵に0-4と4点もリードされていたのだ。ところがその裏、満塁ホームランが飛び出すなど一挙5点を挙げ、最後の最後でまくった。これは'04年から'06年までの異常気象の「余韻」だったのだと思っている。
この年も、大方の予想通り広陵が優勝していれば、3年連続で「さもありなん」という結果になっていたはずだった。歴史を鑑みれば明らかなように、これが甲子園の本来の流れだと言っていい。何度も波乱が続いた反動もあって、今後は、この流れはいつも以上に長引くのではないだろうか。
やはりトーナメントで5試合もしくは6試合、勝ち続けるということは生半可なことではない。地方大会から含めれば、最低でも9連勝、多いところになると14連勝しなければ全国の頂点にはたどり着けないのだ。
力だけで勝てるものでもないが、大前提として力を備えていなければ、どんなに運を味方につけても、どんなに勢いに乗じたとしても、10試合前後も勝ち続けられるものではない。
冷夏だとダークホース、暑いと本命が有利な夏の甲子園。
今年の甲子園は暑くなることが予想されている。この時期の大阪周辺は、ただでさえ「極熱地」だというのに、だ。これがどう影響するか。
強豪校のある監督が、こんな話をしていたことがある。
「冷夏は怖いんだよね。ダークホースがひょいって勝ち上がっちゃうことがある。強いところは、暑くなることを想定してがんがんやり込んでるから、暑ければ暑いほどありがたい。大会終盤になってその差が出る。だからいつも、もっともっと暑くなれ、って思っている」
こんな話を思い出すと、なおのこと、今年も大本命の年のような気がしてくる。大会最終日の夕方、閉会式を眺めながら、「やっぱり○○は強かった」、そうつぶやいているような気がしてならない。
それはもちろん職業者としての冷静な見方であって、個人的には波乱大歓迎、大番狂わせを熱望してさえいる。
ただし、贅沢は言うまい。
贅沢は言わないが、意外性のあるチームが、せめてベスト4、もっといえば決勝ぐらいまで勝ち上がってきてくれないものだろうか。そうなった方が大会自体も盛り上がる。
私が個人的に注目しているのは、埼玉の新鋭・本庄一と、福島の常勝軍団・聖光学院だ。