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“常勝”聖光学院と“常笑”本庄一。
ダークホース校が甲子園を熱くする! 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/08/05 12:10

“常勝”聖光学院と“常笑”本庄一。ダークホース校が甲子園を熱くする!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

「常笑野球」の本庄一は勝利の女神に愛されそう!?

 エース田村和麻(写真)を擁して、埼玉大会の準決勝と決勝で優勝候補の双璧だった浦和学院、花咲徳栄をたて続けに破った本庄一の力はダテではない。「常笑野球」を掲げ、試合中、常に笑みを絶やさないというスタイルも何やら楽しい。笑う門には……と言うように、勝利の女神に愛されそうなチームだ。

 しかも1回戦の相手がいい。甲子園常連校の明徳義塾(高知)である。さらに、そこを突破したら、次は優勝候補の大本命、興南(沖縄)と鳴門(徳島)の勝者だ。難関であることは間違いないが、チームが成長するためは、もってこいの場所だ。また、全国的に見れば知名度がまだ低い本庄一にとっては、ジャイアントキリングを起こし、注目を集めるチャンスでもある。

クジ運は悪いが……聖光学院は東北勢初の優勝を目指す!

 夏は4年連続出場となる聖光学院の組み合わせを見た瞬間、思わずうめき声をもらさずにはいられなかった。監督の斎藤智也も同じだったに違いない。

 以前から東北勢初の全国制覇を成し遂げるのは聖光学院しかいないと思っているのだが、とにかくクジ運が悪い……。'08年春は、初戦で優勝した沖縄尚学に0-1で惜敗し、昨夏は同様に初戦で名門PL学園に敗れている。そして、今夏の初戦の相手は優勝候補のうちのひとつ、広陵だ。勝ち上がっても天理(奈良)と履正社(大阪)の勝者が待ち受ける。最激戦ブロックのBゾーンに入ってしまった。

 本庄一と同じような境遇だが、あくまでチャレンジャーである本庄一と、明確に全国制覇を意識している聖光学院では事情が少し異なる。聖光学院は、ある程度、勝ち上がり方を計算している。そこへいくと、初戦から立て続けに最大出力を求められるというのはいかにも負担が大きい。ただし、プラスに解釈すれば、トーナメント方式の鉄則である一戦必勝を肝に銘じる意味では、いいブロックだとも言えなくもない。

優勝予想もいいが、どんでん返しを期待してしまう夏。

 いずれにせよ、Bゾーンを勝ち抜いたチームは優勝候補の最右翼になる。チームに勢いがつくだけでなく、初戦が2回戦となるため体力も温存できる。

 だが、言うまでもなく、大会的にいちばんおもしろいのは、これらすべての見立てが外れることだ。いちライターの予想が当たるようでは、ドラマとしては、あまりにもありきたりではないか。

 大会後、この記事を読み返し、「ずいぶんと陳腐なことを書いてしまった……」と赤面するような大会になることを心密かに期待している。

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