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夏の甲子園で番狂わせの予感アリ!
優勝候補と対戦する伏兵校に注目。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/08/06 10:30

夏の甲子園で番狂わせの予感アリ!優勝候補と対戦する伏兵校に注目。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 歴史はいずれ変わる。

 北国の優勝はないとされてきた時代に'04年駒大苫小牧が「白河の関」の壁を打ち破ったように、'99年のセンバツで沖縄県勢が初優勝を果たしたように、勢力図が変わる時は来るものなのだ。

 いわゆる、番狂わせ、である。

 北国勢の台頭も沖縄勢の躍進も、今となってはそう驚くことではないのだが、そうした変革の瞬間があるのもまた事実である。

 第92回夏の甲子園の組み合わせが決まった。

 初戦から強豪同士がぶつかり合うなど、今大会も熱戦が期待できそうな組み合わせである。成田vs.智弁和歌山、開星vs.仙台育英、履正社vs.天理などが世間的な注目カードだと思うが、一方で興味を引くのが、優勝候補に対峙する伏兵校たちの存在である。

 全国的にはそう有名ではないのだが……結構、力はある。なのに、相手が優勝候補だということで、霞んで見えてしまう。高校野球とは面白いもので、そうした過渡期にある伏兵校たちに大きな試練を与える。“ここを破ってみろよ”といわんばかりに、優勝候補と対戦させ試練を与えるのだ。ここが、上昇へのターニングポイントであるかのように……。

県内の公式戦で驚異の51連勝という数字を持つ聖光学院。

「組み合わせが決まる前から言っていたんです。お前たちは必ず強豪校と当たるぞ、と。天理か履正社の近畿か、広陵……。そのイメージは持っておけよ、と。だから、初戦の相手が広陵と分かっても、選手たちはそんなに動揺していなかったと思いますよ」

 そう語るのは聖光学院・斎藤智也監督である。聖光学院といえば福島県の代表。ひと昔前であれば、弱小県の一つに数え上げられたであろうが、今は、そんな時代ではない。昨年の花巻東(岩手)や日本文理(新潟)に代表されるように、“雪国勢の台頭”は一過性のものではない。その中でも、ここ10年でもっとも安定的な力を発揮しているのが聖光学院なのだ。初出場時の'01年には0-20という屈辱も味わったが、歴史を積み重ね、彼らの力は安定勢力の一つになった。

 なんといっても、光り輝くのが一昨年の夏から続く、県内の公式戦51連勝という驚くべき数字である。県内では無敵の存在で、4年連続の出場は智弁和歌山の6年連続に次いでいる。

【次ページ】 聖光学院が一皮剥けるためには「強豪校撃破」が必要。

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