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オルフェ、ジェンティルもついに始動!
“ちょっと変わった古馬三強”を検証。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/30 08:01
3月17日の阪神大賞典(阪神競馬場)。昨年は、オルフェーヴルの逸走でどよめいたスタンドが、今年はゴールドシップの横綱相撲に沸いた。
オルフェーヴルは3月31日のGII大阪杯で始動。
そして、真打ちとも言うべきオルフェーヴルが、翌日、3月31日の大阪杯(GII、芝2000メートル)で始動する。
この馬は変わっていて、過去17戦のうち、その強さで世界を驚かせたレースが2戦あったのだが、そのどちらも2着に負けたレースなのである。ひとつは先述した、直線で凄まじい脚を使って先頭に立ち、ブッちぎるかと思わせながらゴール寸前で差された昨年の凱旋門賞。もうひとつは、2周目3コーナーで逸走して止まりかけ、そこから再度走り出して猛然と追い込み、半馬身差の2着となった同年の阪神大賞典だ(このレースは、2週間後のドバイでも外国人ジャーナリストの間で話題になっていたほどだ)。
勝ったクラシック三冠も、その年の有馬記念も強かったが、「化け物」と呼ばれる馬にしかできないことを見せてくれた、という意味で、凱旋門賞と阪神大賞典はスペシャルなレースだった。
今年の大阪杯では、勝って「化け物だ!」と思わせてくれるか、楽しみである。
OGG三強初の揃い踏みは6月23日の宝塚記念か?
鞍上の池添謙一にとっても、ここは落とせない一戦だ。この馬に5つのGIを獲らせながら、昨秋のフランス遠征のさい、ロンシャン競馬場での騎乗経験がないという理由で、クリストフ・スミヨンに乗り替わりになるという屈辱を味わった。
オルフェは今年も最大目標を凱旋門賞に据えている。池添は、今年こそオルフェを手放さずに済むよう、大阪杯のあとフランスに2カ月ほど遠征することになっている。
人馬ともに負けが許されない。これもGIIならではの面白さである。
というのは、すべての馬が究極の状態に仕上げられ、人馬とも特殊な精神状態で臨むGIの場合、普通ならゴチャつかないところに馬が殺到したりといろいろなことが起こるため、“絶対”はなく、「負けられない」という概念が成立しえない。だが、負けるわけにはいかないオルフェが出る大阪杯は、GIIならではの“負けられないプレッシャー”を、見ている私たちも嫌というほど味わえるレースになるだろう。
オルフェーヴルは、大阪杯の次は天皇賞・春か宝塚記念(GI、芝2200メートル)、ジェンティルドンナは宝塚記念、ゴールドシップは天皇賞・春、その次は宝塚記念、ということになりそうだ。
となると、OGG三強が初めて揃い踏みするのは6月23日の宝塚記念になるのか。
競馬の華はもちろんGIだが、そこに向けて戦陣を整えるGIIやGIIIには本番前だからこその面白さがある。ジェンティルが出るドバイシーマクラシックはGIだが、OGG三強の初対決の場となるであろう宝塚記念こそが「本番」だと言って(ファンの関心度としては)いいだろう。
オルフェとジェンティルにビックリさせられる心の備えをして、3月30日、31日のレースを迎えたい。