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“影武者”中村憲剛が香川を活かす!
カナダ戦で得た「Wトップ下」の収穫。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/03/23 12:45

“影武者”中村憲剛が香川を活かす!カナダ戦で得た「Wトップ下」の収穫。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

後半開始からピッチに入ると、香川と何度もコミュニケーションをとる姿が目立った中村。プレー面でも両者の連係の良さは際立っていた。

カナダ戦の収穫は、香川、中村憲剛のトップ下。

 遠藤保仁は言う。

「ヨルダンもおそらく、ロングボールやアバウトなボールを入れてくると思う。全体をコンパクトにすれば(ボールまでの)距離も短くなるわけだから、コンパクトにしてセカンドを拾うというのが一番、大事になる」

 セカンドボールの処理に加えて、個人的なミスも少なくなかった。また、アウェーの状況を考えれば、決定機を必ずゴールにつなげようとする意識も見たかったが、そこの集中力も今ひとつだった。終盤、リードしてからずっと後手に回ったのも“らしく”なかった。

 ただこのカナダ戦、収穫もあった。香川、中村憲剛のトップ下だ。

 ザッケローニは、トップ下の位置を前半は香川に、後半は中村に任せた。

 香川は乾とのフィーリングが合っていたし、動き自体も悪くはなかった。岡崎、マイクのゴールにも絡んでおり、セカンドトップの役割を強く意識していたように見えた。とはいえ、前半は中盤に対する強いプレッシャーもあってボールに触れる機会が多くなかっただけに、ここはチームとしても個人としても考えなければならないところだが……。

 また後半頭から入った中村は採点をつけるならこの日、最も高い点数を獲得したのではあるまいか。後半、相手のプレスが弱まったことを差し引いてみても、中村の状態は極めて良かった。

「前と後ろをつなぐ役割ができればと思った。相手のボランチがウチのダブルボランチに来ていたので、僕が一人、ヘルプに入ればいいかな、と」

 効果はてき面だった。前線とボランチのつなぎ役となって距離感を解消し、中村経由のスピーディーなパスワークがチャンスを生み出していった。

「トップ下の影武者」を心がけ、香川を活かした中村のスタンス。

 中村の投入で活きたのは他でもない、香川である。

 システム上はトップ下に入った中村のスタンスは「トップ下・香川」のイメージ。下がってボールを持つと、香川が中に入ってくることを想定してパスを出し、前を向いてボールをもらう香川のギアがグッと入る。つまり中村は「トップ下の影武者」であることを心がけ、チャンスになれば香川がサイドから中央に入ってくる。2人の距離感が近いとき、日本の攻撃に迫力が出ていた。

 どちらのトップ下がいいか、ではなく、「左サイド香川、トップ下中村」の配置は「Wトップ下」という言い方もできる。中村の状態がいいだけに、指揮官としては嬉しい悩みとなりそうだ。

【次ページ】 控え組の猛アピールがチームに活気を与える。

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