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成熟した広島の“連動性”と“意外性”。
スーパー杯で見せたJ王者の逞しさ。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2013/02/25 12:10
猛然とオーバーラップをかける広島の水本(写真中)。柏の“広島対策”に対し、広島はチーム全体の臨機応変なプレーで“再対応”し、J王者の貫録を見せた。
170cmの体を目いっぱい捻って、ジャストミート。佐藤寿人がジャンピングボレーで放ったシュートはポストを叩き、ゴールネットを揺らす。柏のGK菅野孝憲が一歩も動けず、寿人自身も「出来過ぎ」と語ったほどの鮮やかな軌道だった。
23日に国立競技場で行われた富士ゼロックス・スーパーカップ。昨年のJリーグ王者・サンフレッチェ広島と、元日に決勝が行われた天皇杯の王者・柏レイソルの一戦。前半29分に昨年のリーグ得点王、MVPを獲得した背番号11の一撃で先制した広島が、後半に押し込まれる場面はあったものの1点を守り切って、今シーズン初の公式戦を制した。
決勝点となった寿人の芸術的なシュート。それをお膳立てしたのはチームメートの成熟した連動性だった。
まず、森崎浩司とのパス回しで一瞬マークが空いた青山敏弘がアーリークロスを入れると、3バックの左を務める水本裕貴がヘディングですらして佐藤寿人へとボールを繋いだ。
「ミズ(水本)に当てることで3人目の誰かが絡んでくれればと思い、クロスを入れました」(青山)
「クロスが入ってきた時に水本がヘッドで後ろに流してくれれば、と思っていたらその通りになりました。日々のトレーニングでコンビネーションを磨いてきた結果だと思います」(佐藤)
と、それぞれがイメージを共有したゴールだった。
最終ラインからオーバーラップを仕掛けた水本の意外性。
広島の選手が“必然”と捉えていた崩しは、対戦相手の柏にとっては虚を突かれたものだったのかもしれない。その重要なファクターとなったのは、最終ラインからペナルティエリア近くまでオーバーラップを仕掛けた水本だ。
「前に人がいなかったので、サポートしようと。寿人さんの(オフ・ザ・ボールの)動きやポジショニングを意識して、ボールを流し込みました」
柏の守備ブロックの間に入り込んできた水本。この意外性ある動きが、柏が広島の“可変システム”に対して講じてきた対策をさらに上回る一手となった。