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なぜ女子カーリングは弱くなった?
次世代チームはソチに間に合うのか。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHitoshi Mochizuki/AFLO
posted2013/02/04 12:10
北海道カーリング選手権で優勝した札幌国際大学の井田莉菜。小学生の時に同級生だった吉村紗也香、井田莉菜、氏原梨沙が結成したチーム「WINS」がベースのチーム。高校時代には全日本高校選手権も制し、その勢いのままに全日本選手権で準優勝したことも。
チーム青森が解体する一方、力を伸ばしてきた中部電力。
小笠原、船山両選手のように、結婚、出産といったライフステージの変化もあれば、「マリリン」こと本橋のように自分がスキップを務める場所を求めた選手もいる。
ただ、現状として能力、経験のあるチームが分かれてしまったことによって、北海道、そして青森のチームが総体的に力を落としていたことは否めない。
その間隙をついて、継続強化に力を入れてきたのが中部電力カーリング部である。現在、日本選手権2連覇中で、メンバーが固定化しているのが強みだ。
カーリングではサッカーのように、各チームから選手をピックアップして代表を編成することは基本的には行なわないから、離合集散を繰り返すよりも、メンバーを安定的に組めたチームが結果的に、強くなっていく。
日本代表は、安定した強さを誇る中部電力か、北海道勢か?
中部電力はパシフィック・アジア選手権で2位に入り、世界選手権の切符を獲得したチームであり、現状では本命といって間違いない。
美人カーラーとして週刊誌などでも取り上げられることの多い市川美余に注目が集まることが多いが、チームワークは日本のなかでは洗練されている。
注目されるのは、北海道勢。
昨年度まではチームの熟成が足りず、思ったような結果を残せていないが、2月3日まで行なわれていた北海道カーリング選手権では、成長著しい札幌国際大学が優勝した。準優勝は本橋率いるロコソラーレ北見。そして3位には準決勝で札幌国際大学を終盤まで苦しめた北海道銀行が入り、この3チームが2月12日から行われる日本カーリング選手権大会(札幌)の代表に決まった。
オリンピック経験者を含むチームだけでなく、伸び盛りの札幌国際大学が楽しみな存在になり、どのチームにも優勝するチャンスがあるだろう。
そしてチーム青森も世界大会での経験者が多く、当然、優勝を狙ってくる。