フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
高橋、羽生と世界のライバル勢力図。
四大陸選手権は日本男子が独占も!?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2013/02/04 11:40
2013年の欧州選手権の表彰台に上った若き3人。写真左から、フローラン・アモディオ(22歳、フランス)、ハビエル・フェルナンデス(21歳、スペイン)、ミハル・ブレジナ(22歳、チェコ)。
「この大会のレベルはクレイジーなほど高かった。日本人やカナダ人たちに、ぼくたちがここにいることを知らしめることができたと思います」
1月末、クロアチアのザグレブで開催された欧州選手権の記者会見。2位になったフランスのフローラン・アモディオはまず口を開くなり、そうコメントした。
正直に言うと、欧州選手権に来ていきなり「ジャパニーズ」という言葉を耳にするとは思ってはいなかった。
ニース世界選手権でパトリック・チャン、高橋大輔、羽生結弦の3人がメダルを獲得したのは、およそ10カ月前の2012年3月のこと。世界の男子の表彰台にアジア系3人が並んだのは、この大会が史上初のことだった。
そして12月のソチGPファイナルでは順位が高橋、羽生、チャンになったものの、同じ顔ぶれが表彰台を占めた。
いずれの大会も欧州を舞台にしながら、日本、北米勢がメダルを独占してきたことを、欧州の選手たちがどれだけ屈辱的と感じていたのか、ザグレブでは改めて肌で感じた。
GPシリーズ6大会中4大会で日本男子が優勝するという時代。
昨シーズン独走優勝を続けていたチャンがまだ本調子でないだけに、今シーズンはことさら日本男子の活躍ぶりが目に付いている。
GPシリーズでは、6大会中4大会で日本男子が優勝。特に初戦のスケートアメリカから、いきなり小塚崇彦、羽生結弦、町田樹の3人が男子の表彰台を独占した。それまでGP大会のメダルを手にしたことのなかった無良崇人がフランス大会で優勝したことも、自国開催で優勝候補だったアモディオにとってショックだったに違いない。
そして全日本選手権での、凄まじいとしか言いようのないレベルの高いメダル争いは、世界中のスケート関係者がインターネット映像を通して見たはずである。長い間、世界のトップクラスで戦ってきた高橋大輔が、あれほどの演技を見せても優勝はかなわなかった。そんな過酷な国内選手権が、いったい世界のほかのどの国にあるというのだろう。
海外勢にしてみたら、打倒ジャパンとばかりに闘志を燃やしてくるのも無理はないのかもしれなかった。