フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
高橋、羽生と世界のライバル勢力図。
四大陸選手権は日本男子が独占も!?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2013/02/04 11:40
2013年の欧州選手権の表彰台に上った若き3人。写真左から、フローラン・アモディオ(22歳、フランス)、ハビエル・フェルナンデス(21歳、スペイン)、ミハル・ブレジナ(22歳、チェコ)。
欧州王者の座は、プルシェンコからフェルナンデスへ。
「今日はハビエルのやり遂げた偉業を祝福したい。彼のことを本当に誇りに思う」
2位だったアモディオ、3位だったミハル・ブレジナとも、異口同音にそう繰り返した。自分たちのメダルよりも、欧州から、世界のトップ3人に挑戦できる選手が出てきたことを、心の底から喜んでいるように聞こえた。
かつての帝王エフゲニー・プルシェンコは、公式練習の転倒でもともと痛めていた背中の負傷を悪化させ、SP6位に終った後に棄権した。試合直後にイスラエルで、背骨のディスクを人工のものに入れ替える手術を受けたと報道されている。現在30歳のプルシェンコが、本人が望むようにソチ五輪に出場できるのかどうか、出場できたとしても以前のような強さを見せることができるのか、現在のところまったくわからない。そんな中で、欧州勢の期待を一身に背負っているのがフェルナンデスなのだ。
「ヨーロッパの選手と他の四大陸選手のぶつかり合いになる」
確かに、新欧州王者となったハビエル・フェルナンデスは素晴らしい演技を見せた。彼は現在、おそらく世界でもっとも四回転の成功率が高い選手だろう。サルコウとトウループの2種類を武器に持ち、あまりにも軽々と降りるため、三回転に見えるほどだ。ザグレブのリンクではSPで1回、フリーで3回の合計4度、四回転を成功させて274.87という高得点を叩き出した。これはチャン、高橋の記録に次ぐフィギュア歴代3番目の高得点である。
「世界選手権は、ヨーロッパの選手と他の四大陸選手のぶつかり合いになるでしょう。ここでの戦いは厳しかったけれど、世界選手権の戦いはもっともっと厳しいものになる」と、フェルナンデスは優勝会見で言った。彼はブライアン・オーサー・コーチのもと、羽生と一緒にトレーニングをしている。それだけに親日家でもあると同時に、練習熱心な日本の選手の怖さを熟知している。欧州タイトルを手にしても、舞い上がって軽々しいことを口にするような様子はまったく見せなかった。