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レギュラー復帰も手放しでは喜べず?
長谷部誠がはまり込んだ“袋小路”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/12/06 10:30
2日のHSV戦ではポラークとボランチでコンビを組む。守備で奮闘したものの、アピールしたい攻撃面では目立つ場面もなく、引き分けに終わる残念な結果に。
ついに念願がかなった。
12月2日のハンブルガーSV(HSV)との試合で、長谷部誠は今季初めて本来のポジションであるボランチとして起用された。前の試合で一時的にプレーする時間帯はあったのだが、試合開始時から中盤の底でプレーする機会を得たのは初めてだった。
長谷部は、10月27日にチームがケストナー暫定監督の下でリスタートを切ってから全ての試合にスタメンで起用されている。だが、ポジションは右サイドのMFだった。攻撃時にはウイングのようにサイドに開き、守備の際にはボランチに近いポジションにまで下がってバランスを取る。チーム2位の走行距離を記録しているように、誰よりも走る。
自分の本職とするポジションではないからこそ、新たな挑戦にもつながる。例えば、11月18日のホッフェンハイム戦で今季初ゴールを決めたあとに長谷部は話していた。あのポジションで出るならば、シーズン5点はとるようにしないといけない、と。その真意を長谷部はこう明かす。
「右のウイングみたいな感じだから。あそこのポジションだったら、得点もアシストも求められる」
「右MFをこなしているだけでは、意味がなくなる」
長谷部はヴォルフスブルクに来てから1シーズンに決めるべき具体的なゴール数などを明かしたことはほとんどない。それを認めた上で、こう付け加える。
「攻撃の部分ではやっぱり、こっちに来てから得点というのがずっと足りなかった。そういう意味ではやりがいがあるし、このポジションで結果を出すという気持ちでやらないと。このポジションをこなしているだけということだと、意味がなくなっちゃうからね」
どんな状況でもモチベーションを見出していく姿勢、それにチームのバランスを整える動きは長谷部にしか出来ないものだ。
しかし、である。
右MFで活躍すればするほど、本人がプレーしたいと考えるボランチでの出場機会は遠のいていく。夏に移籍を画策した理由のひとつには、ボランチでプレーしたいという欲求があったのだが……。