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レギュラー復帰も手放しでは喜べず?
長谷部誠がはまり込んだ“袋小路”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/12/06 10:30
2日のHSV戦ではポラークとボランチでコンビを組む。守備で奮闘したものの、アピールしたい攻撃面では目立つ場面もなく、引き分けに終わる残念な結果に。
ブンデスリーガでセンターラインを任されるための条件。
現在、ヴォルフスブルクのダブルボランチはブラジル人のジョズエとチェコ人のポラークが務めている。ケストナー監督は、2人のパフォーマンスについて、手放しで賞賛している。
「彼らは良いプレーを見せているだけではない。チームを強くしてくれているのだ」
長谷部も、2人のプレーを認めている。
「あの2人はハードワークして、相手の攻撃をつぶす。それで今は中央が落ち着いている部分があるから。あそこはちょっと代えないかなぁという感じはある。俺に足りないのは、ああやって中盤で相手をつぶすことだと思うんですよね。やっぱり、あいつらは相手をしっかりとつぶせるし」
長谷部にとって、もどかしいのは、彼らがそれほどまでに自らとかけ離れた選手ではないことだ。今夏の移籍騒動がおちついたあと、長谷部はこう話していた。
「ブンデスリーガでセンターラインのポジションをやる難しさというのがあるのかなと改めて感じていますけどね。日本人というくくりで語るのはあまり好きじゃないけど、フィジカルが必要なセンターラインで常にプレーしている(日本人)選手というのは、今までも、今も、そんなにいないのかな」
ボランチに復帰したい気持ちを持ってはいるが……。
ただ、身長180cmの長谷部と比べると、ジョズエの身長は170cmで、ひとまわり小さい。あるいは、181cmのポラーク。彼がチームにやってきたとき、長谷部は「自分と似ているタイプの選手」だと語っていた。身長190cmの選手が2人中盤の底に並んでいるのであれば、フィジカルの差だけで片付けられるのかもしれないのだが、現状はそうでもない。
長谷部は、たとえサイドのポジションで起用されても手を抜くことなどない。だが、ボランチでプレーしたいという願いが、この夏に彼を突き動かしたのはまぎれもない事実だ。レギュラーに復帰して1月ほどたったころ、監督に直訴しにいくことはあるのか、と問われて長谷部はこう答えている。
「その辺はバランスを見ないとね。チーム状況がよくて、信頼してサイドで使ってもらっている中で、いきなり、『俺のポジションはボランチだから、そこをやりたいんだよ!』みたいな感じで言ってもしょうがないから(笑)。その辺は、タイミングとか、そういうのもあるんじゃないかな」