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“メジャー組”ゼロも悪くない――。
WBCを日本野球の未来に活かす方法。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byKyodo News

posted2012/11/18 08:01

“メジャー組”ゼロも悪くない――。WBCを日本野球の未来に活かす方法。<Number Web> photograph by Kyodo News

侍ジャパンを率いる山本浩二監督。WBCでは、NPB選手だけのメンバーで世界との戦いを強いられることになる可能性が高い。

WBCの記者発表会で漏れてきた関係者の本音。

 WBCという国際大会は、本当に、プロ野球選手として、レギュラーシーズンへのリスクを背負ってまで出場すべき大会なのかどうか。また日本で主張されているような、大会に参加しながら内側から制度を変革できる大会ではないのではないか。それを少しでも理解してほしい。そう言わざるを得ないほど、改めてWBCに失望させられた出来事があったのだ。

 9月25日、MLBは第3回WBCの全容を明らかにするため、決勝戦が行なわれるAT&Tパークで記者発表会を実施した。会にはWBCの関係者が一堂に会し、参加国を増やすことなどによって国際大会として発展を遂げたことを強調したのだが、催し後の囲み会見では関係者から本音が漏れてきた。

 まずWBCの主催母体であるWBCI(MLBとMLB選手会の共同設立会社)のポール・アーチー社長は、野球のオリンピック復帰の取り組みについて聞かれ、以下のように答えている。

「それは我々の管轄外だ。それは彼に(と言いながら、発表会に出席していたリカルド・フラッカリIBAF会長を指し)聞くことだろう」

WBCはサッカーのワールドカップに匹敵すると強調するが……。

 本来ならWBCをより本格的な国際大会に発展させるためにも、競技国を増やす意味でも野球のオリンピック復帰は重要課題のはずだ。だがアーチー社長はほとんど興味を示すことはなかった。彼は現在も大リーグ機構に籍を置く人間であり、元々MLBはオリンピックへのメジャー選手派遣を頑なに拒んできた。やはり彼らの根本は、“野球の国際化”ではなく、あくまで“WBCの成功”に留まっているということに尽きる。

 さらにフラッカリIBAF(国際野球連盟)会長にしても、WBCは我々にとってサッカーのワールドカップに匹敵すると強調する一方で、疑問視されている開催時期について聞かれると一気にトーンダウンしてしまった。

「各国がプロ選手を含めた有力選手を集められるのが、シーズンの影響を考えると3月か11月しかない。さらに11月は天候の問題もあるので、結局3月しか残っていない」

 会長の発言は明らかにMLBを意識しているとしか思えない。これまでもオリンピックで米国以外の国はある程度の選手招集を行なってきたはずなのに、シーズンを中断してまでWBC開催を優先できないという主旨はMLBの主張そのものだ。しかもIBAFが真剣にWBCをワールドカップのような国際大会にしたいと考えているのなら、将来的に南半球のIBAF加盟国に開催地を移せば11月開催もまったく問題ないはずだ。

 つまりIBAF側の見解は、開催時期も開催場所(決勝ラウンドは必ず米国)は変更できないということ。この現状でWBCの本質が変わるはずもないだろう。

【次ページ】 NPBの底上げを図るためにWBCを利用すればいい。

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