自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
自転車好きは鉄道好き?
世田谷線に沿ってゆったり走る。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2010/06/18 06:00
ピスト大人気! 三軒茶屋は若者の街。
三軒茶屋は、学生人気の高い街である。
都心に近くて便利、街自体が住みやすい、世田谷区内というイメージがいい、それなのに家賃がそれほど高くない。とまあ、人気の理由が数々揃ってる。
で、私には「若者の街」というイメージがあったんだが、着いてみたら、あれま、本当にそうなんだ。
一目で分かるのが、ピストの多さだ。
ピストというのは、固定ギアのシングルスピード自転車のことで、要するに競輪用の自転車と同じく、前にも後ろにも進めるという競技用自転車なんだが、これが昨今、若者の間で大ブームということになった。
私などにいわせると「何であんなに乗りにくいものを?」という話なんだけど、流行ってのは何がウケるのか分からない。とにかく20歳前後の、自称「高感度な」若衆たちは、皆こぞってこれに乗るというのが、東京の昨今。
その一端をこの三軒茶屋で見る。いやー、男も女もみんな乗ってるなぁ、ピスト。事故には気をつけて。当たり前だが、ブレーキも必ず装着するように。
さて、世田谷線である。三軒茶屋駅から、おお、確かに青いモダンな電車がスタートする。
レトロからエコへ。芋虫電車から最新型へ。
かつて、この世田谷線には濃い緑色のずんぐりした電車が走っていた。そのあまり垢抜けない佇まいは「芋虫電車」「青虫電車」などと呼ばれたものだ。
それがどうだ。今では先の欧州型、富山市と似た感じの「いかにも新型」「いかにも近未来」という感じのトラムが走っている。
これはいいね。私は思うんだけど、路面電車というのは「昔懐かし」「レトロ」なんてのを押し出していてはダメだ。そんなの一時期のブームが終わったら、すぐに忘れられてしまうよ。
変わらず存続するためには、自ら変わらなくちゃ。世田谷線はとりあえずはえらいと思う。
しかしながら、世田谷線、言葉通りの「路面電車」とは少々違ってて、路面電車とはいいながらも、走っているのは、独立した鉄道軌道である。
その線路の上を平均6分に1本程度、パンクチュアルに運行されていく。
その鉄道の横を自転車で走っていくと……、おお、この界隈は、なんだか、またもや。
し、昭和だなぁ。