メディアウオッチングBACK NUMBER
日本に残る女子アナから
W杯に熱烈エール!
~日本戦中継キー局アナに聞く~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTV Asahi/TBS/NTV
posted2010/06/19 07:59
5月上旬、あるニュースが報じられた。
「テレビ各局は女性のアナウンサーを南アフリカに派遣せず」
開催決定時から治安が取沙汰された国である。「そればかりが理由ではない」というのが局側の説明ではあるが、やはり中心は治安への懸念にある。だが現場を踏みたいのが取材者の心理。葛藤はなかったのだろうか。
「ほかのスポーツもそうですが、現地で見るのはスタジアムの雰囲気や緊張感など、吸収するものが大きいんですね。取材したいという気持ちはありました」
と、日本テレビの森麻季は語る。
決定を知ったのは、「私もニュースで(笑)。社内での説明はありません。しようがないかなと思いました」
選手の多くが晴れの場に家族を呼ばなかったことを考えても、観戦以外に神経を研ぎ澄ませなければならない場所での開催こそ疑問ではある。
それでも大会は幕を開けた。サッカーを担当する3人は、優勝国と日本、海外の注目選手をこのように見る。
注目は、遠藤保仁、中村憲剛、長友佑都、森本貴幸。
目前のオランダ戦担当のテレビ朝日、前田有紀は、「願いは日本の優勝ですが、叶わないならスペイン、アルゼンチンが気になります。期待はドイツW杯でGK以外で唯一出場しなかった遠藤保仁選手。出場できなかった選手の悔しさも、ピッチに立った選手の悔しさも経験し、『ドイツは忘れたくても忘れられない大会』と振り返っていました。海外では、大きな舞台で力を発揮するチョン・テセ選手です」
優勝にイングランドを推すTBSの枡田絵理奈は、Jリーグで一番多く取材してきたという中村憲剛をあげる。
「いつも冷静で視野がとても広い印象があります。顎の骨折という怪我を乗り越えて迎えた初めてのW杯の大舞台、得点につながるプレーをたくさん見せてほしいと思います」。海外勢はメッシ。「王道すぎるかもしれませんがサッカーファンとしては絶対に見逃せません」
優勝はスペインという森の注目は?
「長友佑都選手と森本貴幸選手です。フィジカルの強い長友選手が自分より大きな外国の選手とどう戦うのか。森本選手は、私がヴェルディの番組を担当していたときの入団です。グラウンドで最後まで練習したり、練習後のクラブハウスで語学のレッスンを受けていたりする姿が印象的でした。今、日本を代表する選手になったと思うと気持ちが入ります。海外では、第3戦の中継が弊社ということもあって、デンマークのケアー選手。イケメンですね(笑)。それはともかく、ロングフィードを出せるので脅威です」