自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
自転車好きは鉄道好き?
世田谷線に沿ってゆったり走る。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2010/06/18 06:00
東京にもある近未来路面電車。
ふーむ、しかし、形だけならあれと同じものが東京にあるぞ。ということで、今回選んだのが「東急世田谷線」だった。
東京西部(の一部)を縦断する「路面電車」。
玉川通り沿いの「三軒茶屋」から、甲州街道沿い「下高井戸」まで。で、それに「乗る」わけじゃなく、それに「沿って」行こうと思うのだ。
付かず離れず、ハタからその電車を見ていたら、路線の風情が確かに分かってくる。
便利なんだか不便なんだか分からない。都会なんだか田舎なんだか分からない。今風なんだか昔風なんだか分からない。
とまあ、なんともスペシャルな「郊外電車」だ。
というわけで、今回もドイツ製のBD-1である。
一度慣れると、この自転車、本気でやめられん。速いわ、折りたたんだら小さいわ、乗り心地がソリッドで気持ちいいわ、こりゃ傑作。
多少、高いけど(私のモデルが19万円)、その価格の価値は十分にあるね。
で、今回はこの連載のために秘密兵器まで装着したのだ。
BD-1にカメラを装着!
「クリックフィックス」という。
写真を見てもらえれば分かるが、一眼レフのカメラケースをハンドルに取り付けるためのアタッチメントだ。赤いボタン一つで、着脱自在。
一眼レフのカメラは重いから、首にぶら下げて自転車に乗ることはできない。
だから、持ち運びは基本的にリュックサックなど、バッグ中心にならざるを得ない。でも、リュックサックだと、撮影ポイントで、いちいち自転車から降りて、カメラを取り出して、構えて、というプロセスをとらなくてはならない。
しかし、このフロントのケースだと、自転車を停めて、フレームを跨いだままでカメラを取り出し、バシャバシャバシャッだ。これは便利。
というのか、こういうのを自分で付けたりすると、いやー、ココロのどこかで「オタクの虫」が騒ぎ出し、「改造」なんて言葉が頭の中をグルグル回り、この自転車に乗りたい、乗りたい、ひたすら乗りたい。なんてことになる。だから今朝もBD-1。
ということで、早朝の「渋谷区渋谷四丁目五番五号」から出かけよう。何かというと、写真にあるとおり六本木通りの道端の工事現場にそう大書してある。
ここからまずは、世田谷線の始点(または終点)三軒茶屋にむかうわけだ。六本木通りをまっすぐに行くと、いつしかそれは青山通りに飲み込まれ、その後、渋谷駅前の大交差点を経由し、山手通りを越え、池尻を過ぎると、着く。
時間にして、わずかに15分。東急世田谷線・三軒茶屋駅は、世田谷通りの裏手にあった。