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旗振り役不在でも悲観しなくて良い!?
石原都知事辞任、五輪招致への影響。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2012/11/03 08:01
今年5月、IOCにより、東京が20年の最終候補地に選定され会見に臨む石原氏。2016年ではリオデジャネイロに敗れたため、8年越しの悲願とされていた。
先ごろ、石原慎太郎都知事が辞任した。
スポーツ界への影響ということで真っ先に上がるのは、2020年の東京五輪招致活動である。石原都知事が旗振り役となって推進してきただけに、その影響を考えるのは自然な成り行きではある。
ましてや、招致活動において、重要な時期の辞任だったということもある。
2020年の開催都市には、東京のほか、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)が最終候補として残っている。この中から決定するのは、来年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会の場だ。各立候補都市が最終プレゼンテーションを行なったあとで、IOC委員約100名による投票で決する。
だがそれまでの間に、いくつかの段階がある。その一つが、立候補ファイルの提出である。期限は来年の1月7日だ。立候補ファイルというのは運営企画書で、この書類によって、どのように大会を実施しようとしているのかが判断されることになる重要なものだ。その提出を控えていただけに、五輪招致の点から見ると、唐突な感がある辞任だった。
石原都知事の辞任は五輪招致にはむしろプラス材料?
そのため、悪影響を案ずる報道もされた。
一つには、前述のとおり、スケジュールの問題がある。12月16日の都知事選の投開票まで次の知事が決まらないということもあり、空白期間ができるのではという懸念である。
もう一つ指摘が出ていたのは、国内での支持率への影響である。
東京都の弱点のひとつは、これまでにも報じられてきたように、開催への支持率の低さにある。今年の5月、IOCが公表した各都市の支持率調査の結果は、東京都は47%、マドリードが78%、イスタンブールは73%と差を開けられていた。近いうちにIOCによる調査が再び始まるが、開催への支持率を上げるには石原氏の知名度が大きな役割を果たしており、それが失われると関心を高めるのが難しいのではないかという意見だ。
ただそうした懸念が仮にあるとしても、必ずしもマイナスとばかり捉える必要はないのではないか。
というのも、石原氏が都知事だったからこその問題もあったからだ。石原氏の言動、それに伴う海外でのイメージである。