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絶不調から蘇った中田翔と村田修一。
日本シリーズの行方を決める2人の男。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama

posted2012/10/26 10:31

絶不調から蘇った中田翔と村田修一。日本シリーズの行方を決める2人の男。 <Number Web> photograph by Nanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama

村田修一(左)は日本ハム戦の打率が.400、中田翔は巨人戦の打率が.438。相手チームを得意にする2人の打棒が、シリーズの鍵を握る。

 10月27日から開幕する日本シリーズを間近に控え、両チームの指揮官は徐々に口を開き出す。

「巨人は最高のチーム。素晴らしい日本シリーズになるよう、歴史に残る戦いをしたい」

 日本ハムの栗山英樹監督がそう闘志を燃やせば、巨人の原辰徳監督も「12球団のなかで2チームだけが、このダイヤモンドを暴れることができる。それを誇りに戦えるのは、まさに異次元の部分」と、粋な表現を用いながら頂上決戦への意気込みを語る。

 戦力を比較すれば、投手力は先発、中継ぎ、抑えと、ともに安定している。攻撃力も上位から下位まで切れ目のない打線を誇る巨人に、機動力野球を身上とする日本ハムとスタイルは異なるが、両軍とも強力な一枚岩であることに変わりはない。

 戦力は拮抗している。しかし、戦前の予想では、1981年と2009年の二度の頂上決戦で巨人がともに4勝2敗で勝利していることから、「巨人有利」を示唆する報道もある。

 データは物語る。巨人は日本ハムと相性がいい――。果たしてそうか。

交流戦で活躍した日ハム・中田、巨人・村田がキーマンになる!

 '81年、'09年ともに、対峙する監督が違えば選手も違う。チームカラーも異なれば、戦い方だって別物となる。つまり、過去の戦歴など全く当てにならないのだ。

 ただ、強いて過去のデータで参考になる試合を上げるとすれば、それは今年の交流戦になるだろう。

 原監督の言葉を借りれば、この戦いは「異次元の入り口」でもあった。

 初戦は、巨人が武田勝を攻略し2対1で勝利。2戦目は日本ハムがホールトンを攻め3対2。3戦目は内海哲也が7回1失点と試合を作り巨人が8対6。4戦目は吉川光夫が7回1失点と巨人打線を封じ、日本ハムが5対1でものにした。

 対戦成績は2勝2敗の五分。4戦目を除けば全試合で接戦を演じている。

 さらに興味深いのは、巨人は内海、ホールトン、日本ハムは吉川、武田勝と、日本シリーズ第1戦、第2戦での先発が濃厚な投手が投げていることだ。

 もちろん、主戦投手が快投を演じれば、覇権を大きく手繰り寄せられるだろう。しかし、日本シリーズでの投手の登板回数はどうしても限られてくる。

 そうなるとやはり、エース級の投手を打ち砕く打者の存在が必要不可欠だ。

 日本ハムなら中田翔、巨人でいえば村田修一が、それに該当してくる。

 ふたりは、この交流戦でチームトップクラスの結果を残していることを考えると、日本シリーズのキーマンとなるはずだ。

【次ページ】 巨人戦で復調のきっかけを掴んだ中田翔。

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