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絶不調から蘇った中田翔と村田修一。
日本シリーズの行方を決める2人の男。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama

posted2012/10/26 10:31

絶不調から蘇った中田翔と村田修一。日本シリーズの行方を決める2人の男。 <Number Web> photograph by Nanae Suzuki(L)/Hideki Sugiyama

村田修一(左)は日本ハム戦の打率が.400、中田翔は巨人戦の打率が.438。相手チームを得意にする2人の打棒が、シリーズの鍵を握る。

巨人戦で復調のきっかけを掴んだ中田翔。

 4番に座りながら開幕から絶不調が続いていた中田が、復調のきっかけを掴んだのは交流戦での巨人戦だった。

 5月25日の中日戦で、それまでの“がに股打法”から、すり足の打撃フォームに変えたが結果は出ず、27日の巨人戦では左足を上げる形に修正した。そして、敵軍の将である原監督から、「もう少し、ゆったりとしたフォームにしてみたらどうだ?」とアドバイスを受けたことも相まって中田は気持ちを吹っ切ることができた。

 翌28日には3安打2打点、1本塁打と爆発し、6月の巨人2連戦でも8打数4安打、1打点。巨人戦計4試合で16打数7安打、3打点、1本塁打。打率も4割3分8厘と打ちまくり完全復活を遂げる。

 力を取り戻した中田は、シーズン打率こそ2割3分9厘に終わったが、本塁打はリーグ2位の24本、打点は同3位の77。クライマックスシリーズ(以下CS)でも一発こそ出なかったが、打率はチームトップの4割4分4厘をマークし、4番打者としてパ・リーグ制覇に大きく貢献した。

毎日のように続く吐き気に耐え、バットを振り続けた村田修一。

 頼りになる4番へと成長した中田に対し栗山監督は、「この選手がうてばチームが(勢いに)乗るってあるでしょ。(中田は)そういう選手」と“シリーズ男”として期待を寄せる。中田本人も、「自分の一発で勝てる試合は最高。土壇場で打てるように日々、練習しています」と、日本シリーズでの爆発を誓った。

 村田も、交流戦の日本ハム戦では全4試合で15打数6安打2打点、1本塁打を記録するなど勝負強さを見せた。

 だが、レギュラーシーズンを通しての成績となると不本意な結果だった。

 Bクラスの常連だった横浜から常勝軍団の巨人へ移籍し、期待されればされるほどプレッシャーがのしかかる。序盤こそ4番を任されたがスランプに悩まされ、終盤には下位打順に落とされた。本塁打は前年の半分近くとなる12本。それでも村田は、毎日のように続く吐き気に耐え、手のひらが水膨れになるほどバットを振った。

 そのような苦悩の日々が報われたのが、中日とのCSだった。

【次ページ】 “シリーズ男”となるか“逆シリーズ男”となるか……。

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